ラノベブログDA王

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この世界から先生は要らなくなりました。   第06章・第11話

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マーク少年の回顧録

「そっかー、言葉話せないと厳しいよね」
「確かに、アメリカで英語を話せないとなると、意思疎通に支障をきたすわ」
 レノンの感想に、メリーが頷く。

「オー、イエス。その通りね。ワタシ、ドイツ語と日本語話せたケド、英語は全然だったね」
「マーク先生は、ドイツ人なの?」
「お父さんがドイツ系ね。でも、アメリカの国籍も持ってたよ」

「ドイツ語が話せるのは解りますが、日本語も話せたのはどうしてですか?」
「グッド、クエスチョンね。ユー、名前は?」
「新兎 礼唖(あらと らいあ)と申します。ライアとお呼びください」

「オーケー、ライア」
 金髪の英語教師は、軽くウインクして答える。

「ワタシのお母さんはアメリカ人だケド、そのお母さんが日本人だったね。お母さんも日本語話せたし、ドイツにいた頃から日本のアニメたくさん見たね。日本のゲームもたくさんやったよ」

「なる程、そうでしたか。今や日本のサブカルチャーは、世界中に影響を与えていますからね」
「実はワタシ、投資家になったきっかけ、日本のゲームね」

「ええ、ゲームからどうやったら、投資家に結び付くんだ!?」
「May I have your name?」
「ふえ、い、いきなり英語で言われてもォ!?」

「名前を伺ってもいいですか……って、意味だろ」
「ア、アリガト、タリア。え、えっと、マイ・ネームイズ……レノン・オオシ~マ」
 友人の力添えで、何とか答えるたてがみ金髪の少女。

「レノン。オー、クールネーム」
「な、なあ、タリア。どんな意味?」
「寒い名前だとよ」

「そ、そんなァ!?」
 友人に嘘を教えられ、落ち込むレノン。

「日本のゲーム、たくさん種類あるね。アクション、RPG、人気だったケド、ワタシが投資に興味持ったきっかけなったゲーム、鉄道シミュレーターね」

「鉄道シミュレーターですか。これはまた、風変りなゲームをやられていたのですね」
「確かに子供はあまり、やってなかったね。でも、味わい深いゲームだったよ。鉄道を作る資金として、色んな会社の株を買えるんだ」

「ウゲェ。そのゲーム、アタシ絶対やらなそう」
「お前の頭じゃ、無理だろ」
 仲の良いレノンとタリアの様子に、微笑むマーク。

「でも、その頃のワタシ。誰もトモダチ、居なかったね。ずっと、1人でゲームばかりやってたよ」

「その頃のマーク先生って、今みたいに社交的じゃなかったの?」
「今の先生を見てたら、簡単に友達作れそうだケド」
 星のように明るい金髪の、双子が言った。

「キミたちの言う通りね、カトル、ルクス。あまり言いたく無かったケド、ミドルスクールの頃のワタシ、とてもネガティブ。これね……」
 スマホを取り出し、画像を見せるマーク・メルテザッカー。

「え、誰、このおデブちゃん?」
「まるで、肉まんが積み重なったみたいですわ」
「お腹の脂肪が凄すぎて、服から出てますわよ」

「ハンバーガー、ピザ、コーラ―、ポテトチップス。アメリカの食べ物、みんな高カロリーね。殆ど学校に行かず、家でゲームしながら食べてたら、こうなっちゃてたよ」

「その私生活では、そうなるのも必然ですね」
 合理主義者のメリーが、バッサリと切り捨てる。

「でも今のマーク先生と、ぜんぜん繋がって来ないんだケド?」
「確かにこの画像とは、ぜんぜん別人だしな」

「昔のワタシ、自分には何の価値も無いのだと思ってました。でも当時、流行っていたMMORPGのアソセシア戦記とゆーゲームで、あるプレーヤーと知り合いになったのですよ」

「あるプレーヤー? 有名人なの?」
「今はそうですね。でも、当時はたたの普通の女のコ」
「お、女のコ……って、まさかそれが?」

「ユミア・セドウ」
 天空教室の皆の注目が、一斉にユミアに集まる。

「プレーヤー名は、ユーミリア。アカウントから、日本に住んでいる日本人ってのは解かってたね」
「逆にそれ以外は、解らなかったってコト?」

「イエス。まさか小学生の女のコだなんて、思ってもみなかったよ」
 マークのサファイアブルーの瞳に、そっぽを向く栗毛の少女が映った。

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