ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第五章・EP025

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メタボキーパー

「させませんよ!」
 柴芭さんがいち早く察知し、ゴール前に走る新壬さんへのパスコースを切る。

「さっきはよくも、恥をかかせてくれたな。オラァ!」
 大きく振り上げた脚を、勢い良く振り降ろす九龍さん。
激しくインパクトされたボールは、いびつに変形した。

「マ、マズい……これは、直接シュートですね!?」
 柴芭さんはファーサイドに逃げる様に走る、新壬さんへのコースを切りに行ったため、ゴールまでの一直線がガラ空きとなる。

「まずは1点、貰ったァ!」
 九龍さんのシュートが、デッドエンド・ボーイズのゴール目掛けて飛び立とう(テイク・オフ)としていた。

「なにィ!?」
 そう……でも、まだボクが居る。
必至に右脚を伸ばして、なんとかボールに触った。

「3枚(トリプル)のボランチをかわしたってのに、まだ居やがったのか!?」
「ナイスだ、一馬!」
「サンクス、御剣くん!」

 ボクの脚にヒットしたボールは、大きく宙へと舞い上がる。

「よし、キーパー」
 ふわふわと宙を漂い、ペナルティエリア上空に到達したボール。
センターバックの龍丸さんが最初に触り、ヘディングでキーパーに還した。

「ピッピーーーーッ!」
 審判が、笛を吹く。

「ふえー、めっちゃ危なかったな」
「一馬のお陰で前半は、良い流れのまま終われたぜ」
「せやな。試合は完全に、ワテらのペースやで」

 自軍ベンチに引き上げる、黒浪さん、紅華さん、金刺さんの3人のドリブラー。

「何をしている、キミたち。試合はまだ終わって無いぞ。ロスタイムがまだ、残っている」
 3人は、黒いユニホームを着た審判の人に、呼び止められる。

「アン、なに言ってんだ、おっちゃん」
「今のって、前半終了の笛じゃ……あッ!」
「4-1……何やてェ!?」

 3人は、スコアボードの数字を見て驚く。

「もう、なにやってるね、海馬。だから心配だったよ!」
 ベンチで怒りを現す、セルディオス監督。

「なあ、なにが起きたんだ!?」
「解からんかぁ。ウチらのオウンゴールや」
「海馬コーチが、やらかしちまったみてーだな」

 紅華さんが、言った通りだった。
ボクたちは狩里矢に、オウンゴールで失点を許す。

 少しだけ時間を巻き戻すと、こうだ。

「よし、キーパー」
 ペナルティエリアに上がったルーズボールを、龍丸さんがヘディングでダイレクトにキーパーへと還す。

 周りには新壬さんも居たし、ダイレクトで還すのは正しいプレイだ。
キーパーも、ヘディングで還されたボールは手でキャッチできる。
※味方から脚で還されたボールを手で触ると、キーパーであってもハンドの反則となる。

「任せろ、龍丸!」
 還されたボールを、ジャンプしてキャッチしようとする海馬コーチ。
大きく揺れるお腹が、タポンタポンと波打つ。

「あ……」
 思ったよりも、身体が飛ばない。
普通だったら届く高さのボールは、海馬コーチのキーパーグローブの遥か上空を通過した。

「し、しま……うわあッ!?」
 大きなお尻を地面に打ち付ける、海馬コーチ。
ボールはそのまま転がって、ゴールに吸い込まれた。

「まったく、なにやってんだよ、お前のコーチは!」
「うるせえ。知るか、そんなモン!」
 センターサークルで、試合を再開しようとする黒浪さんと紅華さん。

「オイ、狙われてんでェ!」
 金刺さんが叫んだが時既に遅く、ボールは九龍さんに奪われる。

「マズい、ここは何としても止めろ!」
「了解であります!」
「止めて見せる」

「新壬!」
 中央を突破するかに見えた九龍さんに、雪峰さん、柴芭さん、杜都さんが集中した。
それを見透かしていたかの様に、3枚のボランチと3枚のセンターバックの間にボールが出される。

「……ッしゃ、ナイスパス、九龍!」
 ボールに、新壬さんが右サイドから走り込んだ。

「どうやらキーパーは、雑魚みてーだな。どこに撃っても入りそうだぜ!」
 新壬 義貞は、ボールの落ち際をダイレクトで蹴り上げる。

「な……ッ!?」
 微動だにしない、海馬コーチ。
シュートは、左のサイドネットに見事に決まっていた。

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