ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第05章・54話

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小惑星パトロクロスの激闘

 ゼーレシオンと、漆黒のサブスタンサーと切り結ぶ。

「フラガラッハと、斬り結ぶなんて」
「フッ、甘いぞ」
 ヘクト・ライアーの、螺旋状の光を帯びたランスに、フラガラッハが弾き返された。

「幾ら鋭い切れ味の剣であろうが、届かぬのであれば無意味よ」
「ならば、深く斬れ込んで倒すまでだ」
 ボクは、フラガラッハを両腕で握り、ゼーレシオンの身体を丸めて突進しようとする。

 その時、娘のオレンジ色のサブスタンサーに狙いを定める、アルティミア・カリストーの姿が目に入った。

「オレカ、避けるんだ!」
「え……」
 ボクの叫びも虚しく、アルテミスの光の矢は娘の機体を捕らえた。

「きゃあああぁぁぁあーーーッ!?」
「オ、オレカーーッ!?」
 街へと落下して行く、オレンーティカ。

「大丈夫だよ、何とかフォトンリングで防いだから」
 マスカッティカに乗った、ステアの声がボクを安心させる。

「オレカ、無事か?」
「脚をヤラれちゃった。ゴメン、パパ」
「お前さえ無事なら、それでいい」

「随分と余裕だな。このわたしの前で」
 黒き英雄の螺旋状のランスが、油断したゼーレシオンのわき腹えぐり跳ね飛ばした。

「今だ、指揮官たる群雲 宇宙斗が、タクトを振るえぬウチに」
「我らアマゾネスが、前線を突き崩す」
 果敢な突進を慣行する、26人のアマゾネスの機体。

「お、お前たち、密集陣形だ」
 ゼーレシオンは、空中で機体を立て直す。

「5タイプのサブスタンサーが1組みになって、敵を迎撃するんだ」
「わ、解かった」
「りょ、了解です」

 ウィッチレイダーの機体は、5色で識別される5タイプが存在し、1色が12機あった。
アイスのバラエティパックのように、5色が混ぜ合わさったグループを12備え形成する。

「まずは、ストローティカとソーダティカの中・長距離射撃で、接近する敵を撃破しろ」
「はい、わかりました、パパ」
「うん、やってみるね」

「マスカッティカはフォトンリングで、イーピゲネイアさんの狙撃に対する防御に徹してくれ」
「了解しました……」
「防御に徹します」

 フォトンリングに護られた、ピンク色とソーダ色のサブスタンサーは、接近するアマゾネスの部隊をかなりの数、撃ち堕とす。
けれどもその背後から、新たなアマゾネスの部隊が出現した。

「ど、どう言うコトだ?」
「たぶんアイツらの機体は、遠隔操作型のマリオネッターだよ」
「どっかから、機体が補充されるんだ」

「機体の性能は、パパたちが戦ったのより弱くなってますが」
「か、数がイッパイ過ぎだよォ……」
 ストローティカとソーダティカの弾幕から、討ち漏らし突破して来る機体が増え始める。

「オレンーティカと、チョコレーティカで、接近した敵を撃破するんだ」
「やってやるかあぁ!」
「ホイホイ、わかったよ」

 オレンジ色とチョコレート色の24機が、接近するアマゾネスの機体を次々に葬り去る。
それでも尚、アマゾネスの新手が現れて、数的不利を回避していた。

「幾らでも補充されるのであれば、こちらが不利だ。トゥラン、ヴェル、敵の補給路は……」
 その時、光が輝いた。

「クッ、しまった……!?」
 ゼーレシオンの頭の触角が、光の矢によって破壊される。

「これでヤツは、外部との通信が封じられたか……」
「指揮官機の指揮能力を削いでしまえば、戦局はこちらに優位にはたらきますからね」
 デイフォブスとイーピゲネイアのサブスタンサーは、背中を合わせた。

「外は敵の艦隊に囲まれ、予断を許さない状況ですが、まずは内部の敵をせん滅します」
「今は、敵の大将を討ち取る絶好の機会」
「頼みましたよ、デイフォボス」

「ハッ、わたしにお任せあれ」
 英雄は、女神の声に優しさを感じていた。

「群雲 宇宙斗よ。キサマに恨みは無いが、ここで消えてもらう」
 漆黒のヘクト・ライアーは、白いサブスタンサー目掛けて突進する。

「お待ちなさい、デイフォボス。ヤツの様子が変です」
 イーピゲネイアに言われ、目標を確認する黒き英雄。

 白いサブスタンサーの盾の、左右の6本の装飾が爪のように展開し、先端部分の金色のパーツも左右に大きく開いていた。

「行けません、デイフォボス。引きなさい!」
「心配召されるな、我が女神よ。あんなモノは、コケ脅しに過ぎませぬ」
 デイフォボスは、磁場を帯びる盾目掛けてランスを突き立てる。

「グオオッ!?」
 その時、ゼーレシオンの前の空間が大きく歪んだ。

「デイフォボスッ!?」
「イ、イーピゲネイアさまぁあぁぁーーー!!?」
 空間に引き裂かれ、爆散するヘクト・ライアー。

「ア、アレはなんだ!?」
「一体、何が起こっていると言うのだ!?」

「パ、パパ!?」
「パパの機体から、光の球が……」

 アマゾネスとウィッチレイダーは、戦いを止めゼーレシオンに視線を集める。

「『ブリューナク』……そうだろう、黒乃……」
 ボクは光の球を、天高くかかげた。

 

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