ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

この世界から先生は要らなくなりました。   第05章・第11話

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アイドルユニット

「アイドルユニットですって。最近のアイツは、どうかしてるわ」

「確かにそう……でも天空教室は最初から、『見世物』として企画されていたと見るべきね」
 久慈樹社長に反発するユミアに、メリーが言った。

「わたし達は、企画に参加した演者なのよ。ユークリッドにしてみれば、わたし達を売り出そうとするのも当然の動きだわ」

「見世物とは……相変わらず合理的な分析だな、メリー」
「事実を言ったまでです」

「見世物ってのは、なんかヤダけどさ。アイドルって、憧れるじゃん」
「お前はアイドルよりも、見世物のが似合ってそうだケドな。バカライオン」
「なにおう、人をサーカスのライオンみたく言うなァ!」

 気の合う者同士の口ゲンカを始める、レノンとタリア。

「お前たちの契約者が、久慈樹社長である以上反対はできないが」
「反対はできないが?」
「アイドルは簡単じゃ無い……と、友人が言っていた」

「なんだよ、それ。人の言葉じゃんか!」
「す、すまん、アイドルや芸能ネタは、からっきしなんだ」

「だらしない先生ですが、アイドルが生易しいモノでないことは真実ですわ」
「お姉様の仰る通り、芸能界の厳しさは骨身にしみております」
 その『厳しさ』によって、住む家さえ失ったアロアとメロエ。

「今回の募集は、あくまで自主参加とのコトですわ」
「わたくしとお姉さまは、もちろん参加いたしますが、皆さまはどうされます?」
 姉を神聖視する安曇野 芽魯画が、皆に問いかける。

「ウ~ン、どうなんだろ。アイドルには憧れるケド、やっぱ向いてない気がするなあ」
「自分のガサツさに気付いただけでも、大した成長だぞ、レノン」
「うっさい、タリア。自分だって、大して変わんないじゃんか」

「わたしはパスしますゥ」
「そうね、わたしもパスよ」
 アリスとメリーも、不参加を表明する。

「ボクたちも、止めておくよ」
「身体の調子もあるしね」
 カトルとルクスの双子姉妹も、参加を取りやめた。

「シア、キミたちはどうかな?」
「わたし達ですか。確かにキア姉さんも、音楽で有名になる予定だとは思いますが、ロックバンドですからね。アイドルはどうなのかと」

「路線が違うと言うコトだな。他にアイドルユニットに、参加を希望する者はいないか?」
 質問の後、ボクは教室を見渡すものの、手を挙げる者は居なかった。

「アイドルになりたいのは、最初からそうだったアロアとメロエだけか」
「フフ、ザマアみろだわ。これでアイツの計画も頓挫したわね」

「だ、大丈夫でしょうか、お姉様。このまま計画が、白紙に戻ってしまっては……」
「そ、そうですわね。わたくしとしたコトが、少々脅かし過ぎてしまいましたわ」
 顔を見合わせる、グラマラスな双子姉妹。

「芸能界を生きるノウハウは、教えて差し上げますので……」
「皆様、お気楽に参加をされてはどうでしょう」
 二人は必至に訴えたが、意見を覆す者は現れなかった。

 ボクは、ホッと胸を撫で降ろす。

「タリア、少しいいか」
「ン……なんだい、先生」
 タリアはボクの意図を察したのか、みんなから離れて付いて来てくれた。

「実は、キアの入院している病院で、瀧鬼川弁護士と、襟田 凶輔に会った」
「そ、そうか」
「瀧鬼川 弁護士は、控訴を取り下げると言って下さったが、襟田 凶輔が……」

 ボクはそれから、病院での経緯をタリアに話す。

「なんでアタシなんかを、気に入ってんのかは知らないが、裁判沙汰が避けられたのは良かったよ」
 美乃栖 多梨愛は自分よりも、被害に遭った7人の少女たちを気にかけていた。

「キミも気を付けてくれ。ここのセキュリティは万全だとは思うが、外に出かけるようなコトがあったら……」
「そん時はまた、この拳で叩きのめしてやんよ」

「タ、タリア!」
「冗談だって、先生。流石にもう、暴力沙汰はこりごりだよ」
 フードのパーカーを着た少女は、みんなの輪の中へと帰って行った。

「ボクの生徒たちは、ずいぶんと大人でしっかりしてるな」
 安堵したボクは、部屋を出てエレベーターホールに向かう。

「アラ、久しぶりね」
 するとエレベーターに乗った次の階で、一人の女性が乗り込んで来た。

 

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