ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第05章・22話

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宙を舞う少女たち

「ギリシャ群の艦隊がワープして、この宙域に現れたと?」
 ボクの問いかけに、デイフォブス=プリアモス代表が頷く。

「ワープ技術なんて、未だ確立されてねハズなのに……」
「それを艦隊規模で、装備してる……?」
「一万隻の艦艇全てにって、ウソでしょ!?」

「残念ながら、本当と見て間違いはないでしょう」
 真央たちの疑問に、イーピゲネイアが答えた。

「それにしてもヤツらめ、とんでもない技術を開発したモノです」
 黒き英雄が懸念を示す間にも、指令室が何度も大きな揺れに襲われる。

「現在、我が軍も艦隊を出して応戦をしておりますが、宇宙港を二つ破壊されてしまいました。一個艦隊の2千隻しか、展開できておりません」
 亡き会長の孫娘も、揺れる指令室に踏みとどまってくれていた。

「MVSクロノ・カイロスと、連絡を取れませんか。最悪の事態になる前に、なんとかしないと」
「最悪の事態って、なんですか。おじいちゃん」

「ワープ技術があって、艦隊すらも簡単にワープさせられるなら……」

「核ミサイルや光子ミサイル、化学兵器や生物兵器などを、小惑星パトロクロスの内部に、ワープさせて来る可能性があると言われるのですな」
 表情を歪める、デイフォブ代表。

「マ、マジかよ。そんなのが、中の街で爆発しちまったらどうなる!?」
「この小惑星ごと、木っ端みじんに吹っ飛ぶか……」
「街の住人がガスやウィルスで、大勢死ぬかもだよ」

「は、早く艦に、戻らないとなのです!」
 少し前まで街でショッピングを愉しんでいた少女たちも、血相が変わっている。

「そうだな、セノン。艦に戻れば、クロノ・カイロス旗下の二個艦隊も、動かせる可能性があります。それがダメでも、艦内には敵に対抗しうる装備が……」

「それが無理なのです」
 イーピゲネイアが、とつぜんボクの言葉を遮った。

「無理とは、どう言うコトでしょうか」
「MVSクロノ・カイロスは、ギリシャ群に破壊されたポートの一つに、停泊しておりましてな。そこを集中的に、狙ってきている様なのです」

「現在、ポートで火災や爆発が発生し、艦とは連絡が取れな……きゃああ!?」
 極度の衝撃が、イーピゲネイアの華奢な身体を吹き飛ばす。
美しいプラチナブロンドの長い髪が、ボクの懐に飛び込んできた。

「グハッ!」
 少女の身体を受け止めたまま、激しく壁に叩きつけられる。
壁に弾かれたものの、重力が制御されたのか衝撃が緩み、彼女を抱えたまま床に着地した。

「フウ、未来の重力制御てのは、やっぱスゴ……いなッ!?」
 一息付いたボクが上を見上げると、四人の少女が宙を舞っている。

「うわあ、上見るなあ!」
 ボーイッシュな少女の、白地にグレーのピンストライプの布。

「あっち向け」
 セミロングの無口な少女の、水色に白ドットの布。

「私服に着替えたのが、裏目にィィ」
 ドレッドヘアの少女の、レモン色とオレンジのチェック柄の布。

「おじいちゃんの、えっちぃ!!」
 栗色のクワトロテールの女の子の、白地にピンクのウサギドットの布。
可愛らしいお尻を覆う四枚の布切れが、ボクの眼にしっかりと焼きついた。

「そ、その、アレだ。別に何も見てないと言うか。アハハ」
 スカートを押さえ着地した、真央やヴァルナ、ハウメアは、ボクに冷たい視線を向ける。

「なにがアハハ……だよ、まったく」
「しっかりと見てた」
「もう、信じらんないよ」

「それにおじいちゃん。いつまでイーピゲネイアさんを、抱えてる気ですか!」
「ふえ……うわあ、ゴメン!?」
 ボクは慌てて、彼女を開放した。

「も、申しワケございません、宇宙斗艦長」
「イ、イヤ、ぜんぜん平気だから」
「もう、おじいちゃんったら、動揺しちゃって」

「べ、別に動揺してなんか……」
 動揺と言うよりボクは、少しだけ違和感を感じていた。
受け止めた少女の体温が、低く感じられた気がしたからだ。

「どうやら重力制御システムが破壊され、衝撃の中和が効かなくなっている様です。イーピゲネイア様も、身体を椅子に固定して下さい」
「わ、わかりました」

 ボクたちは全員、黒き英雄の指示に従った。

 

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