ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第8章・17話

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後見人と三人の親衛隊

 ニャ・ヤーゴの街外れの教会は、魔王との激戦によって荒れ果ててはいたが、崩壊は免れる。

「恐らく、死角からの攻撃を狙ったサタナトスの戦い方が、教会が魔王によって破壊されるのを阻止する結果となった……」
 プリムラーナ・シャトレーゼは、そんなコトを考えている自分に気付いた。

「まったく……度し難いモノだな、わたしは……」
 空を見上げ、戦争に慣れてしまった自分を嘲笑する女将軍。 
すると、端正な顔に水滴が当たる。

 それはやがて、雨となって辺りを覆い尽くした。
志を同じくした少女たちの死を、多く見て来たプリムラーナ。
パレアナの死は、それらの痛みの一つに過ぎない。

「わ、わたしが……パレアナを……」
 けれどもヤホーネスの王宮に育ち、街の外にも護衛付きでなければ出かけない皇女にとって、それはとてつもなく大きな代償だった。

「お気をしっかり、お持ちください。皇女殿下」
「王亡き今、ヤホーネスを統べるのは、貴女さまを置いて他にありません」
「亡き王のご遺志を、継ぐべき時なのです」

「や、やめて。わたしに、王なんて無理よ!」
 王都より堕ち伸びた三人の使者の言葉を、拒絶する皇女。

 神澤・フォルス・レーマリア皇女が、どうして古びた街外れの教会にいたのか。
それは一重に、曾祖父である王と、王都の民の無事を祈ってのモノだった。

「どうしておじい様は、死んでしまわれたの」
 両手で顔を覆い、泣き崩れる皇女。
「そ、それにパレアナまで……わたしの身代わりとなって」

「皇女殿下。今はお辛いでしょうが……」
「お前たち、名は何という?」
 プリムラーナが、三人の使者の名前を問うた。

「ハッ。わたしは、ナターリア・ヒルデブラントと申します」
「わたしは、オベーリア・シンディーネであります」
「ダフォーリア・ケイトファルスと言います」

「見たところ三人とも、皇女殿下と近い年齢なのではないか?」
「ハッ、自分たちは全員、十四歳であります」
「プリムラーナさま、それがなにか?」

「実はわたしは生前の王より、皇女殿下の後見人を仰せつかっていてな」
「そ、それは誠でありますか?」
「なんと、心強い!」

「皇女殿下はお強いお方だ。いずれ国民の先頭に立ち、国を復興するときが来るであろう。だが、今はまだ心の傷を癒すべきときだ」
 プリムラーナは、雨に濡れた皇女を両腕で抱きかかえる。

「不幸中の幸いと言ってしまうと、パレアナに申し訳ないのだが、街や王城への被害はほぼ無い」
「プリムラーナさま、どちらへ?」
「湯あみだよ。お前たちも付いてまいれ」

「このような時に、湯あみですか!?」
「このような時であればこそ、心の癒しが必要なのだ」
 プリムラーナの背中を追い、駆け寄る三人の少女。

「お前たちに、皇女殿下の親衛隊の役を命ずる」
「わ、我々がでありますか!?」
「これより湯殿へと向かい、皇女殿下のお気持ちを和らげよ」

 ナターリア、オベーリア、ダフォーリアは頷く。
皇女を抱えた女将軍と、銀色の鎧に蒼いマントを翻した少女たちと共に、ニャ・ヤーゴの小さな城へと向かった。

 ~その頃~

 王都・ヤホーネスの街は、黒煙に覆われていた。
街は魔物の軍団により蹂躙され、多くの建物が倒壊している。

「思ったよりも、事態は深刻だな……」
 オレンジ色に輝く鎧に、黒いマントを着た男が、表情を歪めた。

「見ろよ、グラーク司令。王城が跡形も無く消し飛んでるぜ」
「魔王が降臨したのだ、ニーケルス。魔物の軍勢は、その手下と見て間違いはないだろう」

「魔物の軍勢だけならなんとでもなるが、魔王が相手となると厄介だぜ」
 ニーケルスと呼ばれた男が言った。
彼は蒼い目で金髪の髪を靡かせ、ワイルドなもみ上げをしていた。

「まずは街に入り込んだ魔物の殲滅が、優先でしょう。魔王は、放置する他ありません」
 茶色いボブヘアに、知的な緑の瞳の男が作戦を提案する。

「だがよォ、レーゼリック。魔王は待ってはくれんぜ」
「解かってはいるが、我々軍隊には魔王に対抗する手段など無い」
 すると……

 どこからともなく現れた剣士風の男が、オレンジ色の軍団の前に躍り出る。

「なればその役目、わたしが引き受けよう」
 男は白紫色の髪を、頭の後ろで束ねていた。

 

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