ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第8章・2話

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恐怖の谷

「かなり歩き回って調べちゃみたがよ。村人の死体が一つも残されてねェぜ」
「建物はこれだけ破壊されているのに、おかしなものね」
 クーレマンスとカーデリアが、村の探索から戻って来た。

「サタナトスとやらの目的が、『実験』だと言うなら簡単な話だろう」
「村人たちは、殺されず何処かへ連れていかれた……そう考えるのが自然ではないか」
 ネリーニャとルビーニャも、別方向から探索を終え戻って来る。

「村の状況から考えりゃ、そうだろうな~」
「で、でも村人はどこへ……シャロリュークさん!?」
 蒼い髪の少年は、隣を歩く赤い髪の少女に問いかけた。

「リーセシル、リーフレア。そっちは何か、解かったか?」

「ん~ん。子供たちは、何が起こったのか理解してないみたい」
「ただ、大人たちに言われるままに地下室へ避難して、数日がたった……と」

 残った二人の司祭も、子供たちをあやしながら情報を聞き出そうとする。
……が、有益な情報を得られずにいた。

「……じゃが、これで可能性は高まったなワケじゃ」
「高まったって、何がだ。ルーシェリア?」
「決まっておろう。サタナトスの居場所じゃよ」

 そう言って漆黒の髪の少女は、視線を新たに生まれた方の八ツ子に向けた。

「そうなのねんミル~」「たぶん、ウチのホワイトミル」
「白じゃなくて、城ミルね」「こりゃまった失礼ミル~♪」

 『ミラーラ』、『ミリーラ』、『ミルーラ』、『ミレーラ』と名付けられた、バイオレット色の巻き髪に、褐色の肌の少女たちは、堂々と身も荒むギャグを披露する。

「なあ、ルーシェリア。あのモラクスって魔王、お前の前じゃいつも、こんな調子だったのか?」
「こんな調子だったのじゃ……」
 肩を落とす元・冥府と暗黒の魔王に、同情する元・赤毛の英雄。

「では、せっしゃたちが案内つかまろうレヌ」
 今度は武人の性格を持つ、『レナーナ』、『レニーナ』、『レヌーナ』、『レネーナ』の四人が、マスカット色のポニーテールを左右に揺らしながら名乗り出た。

「場所はこの村から見える、恐怖の谷と呼ばれる渓谷の下レヌ」
「渓谷の先に、干上がった湖があるレヌ」
「せっしゃの牛頭の巨像があって、そこから地下に行けるレヌ」

「こっちの四人は、魔王の武人としての性格を受け継いでんのか」
「できれば、この四人だけで元に戻って欲しいモノじゃ」

「それじゃあ、さっそく地下祭壇の城に行きましょう」
「ああ、そうだな。舞人」
 二人の英雄は、村を出立しようとする。

「あの……」
 けれども、彼らを引き留める声がした。

「ん、どうした、リーフレア?」
「子供たちだけでも、近隣の街に避難させた方が、良いんじゃないですか?」

「まあ、それもそうか?」
「で、誰が送り届けるんだ?」
 クーレマンスが、ぶっきらぼうに問いかける。

「なら私たちが行くよ。ねッ、リーフレア!」
「ハイ、リーセシル姉さま!」

 双子の司祭は自分たちの提案通り、子供たちを近隣の中規模都市に避難させるため別働となり、残ったメンバーでムオール渓谷に向うこととなった。

「ここを降った先が、魔王だった頃のマイハウスミルゥ~♪」
「深い谷底なので、落ちないように気を付けるでござるレヌ」

 かつて、力の魔王・恐怖の魔王と呼ばれ恐れられた、『モラクス・ヒムノス・ゲヘナス』だった八人の少女が、道案内をする。
かつて、渓谷を創ったであろう河は既に存在せず、谷底には無数の瓦礫や石ころが散乱していた。

「この像が……お前たちの城?」
「壊れちまってるじゃねえか」
 ひび割れた大地には、巨像の欠片が無数に転がっている。

「地上のは、ヘンな宗教のヤツらに、異端だとか言って壊されたミル」
「なので、痛んでるミル」

 パーティーの視線は、褐色の肌の四人から、マスカット色のポニーテールの四人に移った。

「地上の像は入口に過ぎないでござるレヌ」
「こちらへレヌ」
 サムライ然とした少女たちに先導され、崩れた巨像の台座部分に入って行くパーティー。

 八ツ子が円陣を組んで手をかざすと、砂が積もった床から、地下へと続く階段が現れた。

 

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