ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第一章・EP016

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コンビニ面接

 この道、昨日は通らなかった道だ……。

 路線バスは、七人の女子高生たちが乗ってきた、ターミナル駅の停留所には立ち寄らず、街中の商店街へと向かった。

「オイ、お前もたいがいだな」
 後ろの席から、機嫌の悪そうな声が聞こえる。

「これからオレは、大事な用事があんだ。ぜってー付いてくんな!」
 そう言うと同時に、紅華さんは立ち上がって、バスを駆け降りた。
……と同時に、ドアがプシューッっと音を立てて閉まる。

 あ……。
慌てて立ち上がったが、時すでに遅しだった。

「さ、流石はドリブラー」
 相手の虚を突くのが上手い。

「ダメだ、ダメだ。昨日は終点まで乗ってっちゃったケド、今日は次で降りないと……」
 ボクは、バスの前方に向かった。

 あと、領収書も貰わないと……。
けれども、走行音が響く後ろの席では自由に喋れても、運転手さんの前に出ると口が動かない。

 だけど、ボクは昨日のボクとは違うんだ!
『領収書下さい』……と書かれた紙を財布から取り出し、運転手さんに見せる。

 バスは街中の停留所でボクを降ろすと、どこかへ走り去って行った。

「ふう。なんとか領収書、貰えた」
 始めて見る、領収書……なんだか大人っぽい。

「さてと。また戻って、紅華さんを探さないと」
 昨日と同じ様に、バスが運んでくれた道を引き返す。
昨日の終点の停留所は、山の奥な感じだったケド、今日はずいぶんと街中だ。

 お洒落なカフェや、カッコイイ靴が並んだシューズショップ。
昨日と比べ、歩く間に目に入る景色は賑わっていた。

 うわあ、周りも人だらけ。これじゃあ、独り言も喋れないよ……。
誰かとすれ違う度に、顔を引きつらせるボク。

 でも、なんかお腹空いたな。
コンビニがあるし、寄って行こう。

 聞きなれた入店音が響き、店内に入ると炭酸水とツナパンを買った。
コンビニって、カウンターに商品を置けば買えちゃうから好きだ。
最もカウンターの、美味しそうなチキンや肉まんは買えないケド。

 そのまま店を出ようとしたが、フードコートが目に入る。
ゴミを持ち歩くのもアレだし、ここで食べて行こう。

 そう思ってフードコートに行くと、先客がいた。
おじさんと高校生が、向かい合って話してる。

「あのねえ、キミ。確かにウチは人手不足で、猫の手も借りたいくらいだよ」
 おじさんの低い声が、背を向けた高校生に向けられている。

「だけど、そのピンク色の髪はどうなんだね。ウチも、接客業なんでねえ」
「でも雑誌には、服装自由って書いてありましたよね?」
「多少のコトは目をつぶるが、限度があるだろう」

 高校生は必死に食い下がっていたが、おじさんは頭ごなしに彼の意見を否定し続ける。

「黒髪にしろとまでは言わん。茶髪か、せめて地味目な金髪くらいには出来んのかね?」
「できね~よ、まったく!」
 敬語を使うのを止め、悪態をつく高校生。

「そうか……残念だが、ウチでは雇えない。話はこれまでだ」
 憮然とした表情のおじさんは、高校生の前から去って行った。

「ケッ、なんだよ、腹立つなあ」
 指摘されたピンク色の髪を掻きむしりながら、立ち上がる高校生。

「髪の色で差別しやがっ……あ!?」
 ボクと目を合わせた高校生は、言葉を詰まらせた。

 うわあ、どうしよう。
たまたまフードコートに寄っただけなのにィ。

「テ、テメー、なにこんなトコまで付けて来てやがんだ!」
 当然、そう思いますよねェ。

「お前、今の見てたのか!?」
 鋭い目つきで、睨まれる。

「まあ、見てたよな……?」
 まあ、見てた……。

「それ、喰うんだろ。座れよ」
 紅華さんは、ボクを目の前の椅子に座らせた。

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