ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第7章・5話

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英雄たちの末路

 ニャ・ヤーゴのそこそこ豪奢な浴場で開かれた、女だけのハズの会議。
次第に互いの緊張を緩めながら、進んでいった。


「そう言えばシャロリュークさん、まだ見つかってないんですよねえ?」
「アイツのことだから、今頃どこかでロクでも無い悪戯でも考えてる頃よ!」
 リーフレアの質問に、カーデリアが『赤毛の少女』を膝に乗せながら答えた。

(くうッ! 鋭いな、お前。しかし、胸の方は大して成長しとらんぞ)
 強がりを言いつつもカーデリアは、赤毛の少女の髪を懐かしそうに撫でる。

「ねえカーデリア。そのコの髪、なんだかシャロ様に似てませんか?」
 レーマリア皇女殿下が、カーデリアの横から『赤毛の少女』を奪い取って自らの膝に乗せた。

(ヌオオッ、レーマリア……お前、ホントに十五歳かよ。カーデリア……お前、完全に負けてるぞ!)

 シャロリューク・シュタインベルグは、背中に感じる『肉と脂肪の塊のボリューム』が、先ほどまでとは完全に別次元であるコトに驚嘆する。

「確かに、このボサボサでツンツンの赤毛なんて、シャロにそっくりなのよね~?」
 観察を始める皇女殿下と幼馴染みに、赤毛の少女は脂汗を流した。

「ところでルーシェリア殿。貴殿は城の近隣で、サタナトスなる少年と刃を交えたと聞いたが……一体何者なのだ。感想をお聞かせ願えぬか?」
 一同が和んだところで、プリムラーナは本題の核心に迫る質問をする。

「そうじゃのォ。まず我ら魔族は、本来ならば『忠誠心』などというモノは持ち合わせてもおらぬし、利害関係以外の関係は持たないのじゃ……」

 ルーシェリアは、浴室の洗い場で些細なことで喧嘩を始めている、ネリーニャたち双子とアイーンやマイーンたち八つ子を見ながら言った。

「……つまり?」
 女将軍は、言葉の続きを促す。

「お互い興味も無ければ、どうとも思ってはおらん。関係性も希薄でのォ。つまり魔族は他の魔族のコトなど、殆ど知らんと言うことじゃ」

「その『サタナトス』なる少年について、何も知らない……と言われるのですか?」
 レーマリア皇女が、ルーシェリアに真意を問うた。

「奴自身が認めたコト意外はのォ? 奴は、『人間』と『魔族』のハーフじゃ」

「では、シャロリューク様に怪我を負わせ、付近の河の水を蒸発させる魔力を持った者が、人間の血も引いている……と?」
 プリムラーナを始め、湯船に居合わせた一同は驚愕し顔を見合わせた。

「そうじゃ……ちなみに今回の大破壊は、その少年によって『魔王』へと姿を変えられた『シャロリューク・シュタインベルグ』自身が巻き起こしたモノじゃからのォ」

「ええーーッ!? シャロが、『魔王』にされたぁぁーーーッ!?」
 カーデリアは驚きのあまり、絶叫して立ち上がった。

「あの爆発は、赤毛の英雄が引き起こしたと言われるのですか!?」
「正確には、赤毛の魔王・シャロリュークじゃよ。プリムラーナ」

「確かに、舞人くんの『ジュネティキャリパー』は、『魔王を人間の女の子』に変えちゃうワケだから……その逆も?」
「つまり『人間を魔王に変える能力』があっても、おかしくは無いということでしょうか?」

 双子の司祭は急に不安になって、お互いに抱き合った。

「しかし、ルーシェリア殿。それではシャロリューク殿はどうなされたのです?」
「そうよ、シャロはどうなっちゃったの。無事なの!?」

「ヤレヤレじゃのォ~。無論、『赤毛の魔王がご主人さまに倒された』から皆、無事なのじゃ。そうでなかったら、この街ごと消し飛んでおったわ」
 プリムラーナとカーデリアの質問責めに、ルーシェリアは肩を竦め首を振りながら答えた。

「そんな……それじゃシャロが……シャロが死んじゃった……?」
「嘘……です。そんなの、信じられません!?」
 カーデリアとレーマリアは、『幼き赤毛の少女』にすがって泣き崩れる。

「コレ、慌てるで無いわ。ご主人サマの『剣の能力』を忘れたのかえ?」

「そ……それじゃあシャロは、生きてるん……だよね?」
 恐る恐る質問するカーデリア。

「シャロリューク様は、ご無事なのですね!」
 希望を見出す皇女。

 目を赤く腫らしたカーデリアとレーマリアは、赤毛の少女を『貧相な胸』と『豊満な胸』でサンドイッチするかたちで抱き合った。

「ああ……生きておるとも。ただし……」
 ルーシェリアは冷たい視線を、二つの胸に挟まれた少女に送る。
「どこぞの風呂場で、『赤毛の少女』の姿に成り果ててのォ~」

「へッ?」
「え?」
 幼馴染みと皇女殿下は、顔を見合わせる。

「……あはは。よ、よおォ?」
 二つの胸の谷間で、少女は引きつった笑顔を覗かせた。

「ギャアアァァァァぁーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!?」
「きゃああぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!?」
幼馴染みと、皇女殿下の悲鳴がこだまする。

 すると十分を遥かに経過し、茹でダコのようにのぼせ上った蒼髪の少年が、パレアナの目の前に浮上する。

「いやあああああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーッ!!?」
 シスター見習いの少女の悲鳴も、浴場に響き渡った。

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