ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第04章・06話

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対艦戦闘と対宙戦闘

 謎の艦の巨大な機械の触手は、MVSクロノ・カイロスの艦体を捕らえ締め上げた。

 艦の後部の触手は、四つの円盤部分からそれぞれ四本伸びている。
「十六本も触手があるなんて、とんでもない化け物だな」
前方部の触手と比べると圧倒的に貧弱だが、その分長さがあった。

「オイ、このままじゃ圧し潰されっぞ。なんとかならねえのか!?」
『触手の能力を計算致しましたが、アダマンティア合金の装甲を圧し潰すコトは不可能です』

「だけどベル、触手にレーザー兵器が搭載されている可能性は無いのか?」
『おっしゃる通り、搭載されている様子です。触手の吸盤に見えるパーツが、全てフォトンレーザーの発射口と確認されました』

「そ、それって、マズくないですかぁ!?」
「あの無数に見える吸盤が全て武器なら、防ぎようがないぞ!」
 セノンも真央も、塔のようにそびえる金属の触手を見上げ、恐怖する。

「クラーケンの触手を、なんとかできないのかッ!?」
 軍隊において、未確認の兵器を勝手に命名してしまうコトは、よくある事例だ。

『重力バリアを発生させ、防御と引きはがしを同時に行うコトを提案いたします』
「……え?」
「さっさと承認しろ、バカ! 一瞬の遅れが、命取りになるぞ」

「わ、わかった。承認する」
 プリズナーに怒鳴られ、ボクはベルの作戦を慌てて許可する。

「触手の吸盤が全部、赤く光ってるよ!?」
「もう間に合わない……」
 悲鳴を上げる、ヴァルナとハウメア。

『バンッ!!!』……と、空気が弾かれる音がした。

「み、見てください。触手が……」

 セノンが指さす先を見ると、何本もの触手から放たれたフォトンレーザーが、見えないバリアによって防がれ、大爆発を起こす。

「爆発の威力で、クラーケンの野郎が引っぺがされていくぜ」

「バリアを解除して、後方の砲塔で触手を撃破するってオーダーは、可能か?」
『可能です。実行いたしますか?』「ああ、やってくれ」
『了解いたしました。オーダーを実行いたします』

「オイ! まだ周りに、大量の戦闘機が残ってるんだぞ!?」
 プリズナーの指摘は、時すでに遅しだった。

 後方の砲台による、フォトンレーザーの一斉掃射で、十六本の触手の何本かが宇宙空間に四散する。

 けれども同時に、艦橋の真上に無数の宙空戦闘機が飛来した。

『対宙砲火を行います』
 防衛に関する任務は、艦長のボクを通さずとも勝手に行われるようで、艦のあちこちに装備された対宙砲台で、戦闘機との戦闘が行われる。

「もう一度バリアを張るコトは、できないのか?」
『可能ではありますが敵戦闘機の兵装で、MVSクロノ・カイロスに決定的なダメージを与えるコトは不可能です』

「だが、こっちもほとんど撃ち落とせてねーだろ? うるさいハエか蚊みてーに、うっとおしく飛び回ってやがるぜ」

 プリズナーの指摘した通り、電子戦による相手の軌道を予測しあって行われる戦闘は、戦闘機側がMVSクロノ・カイロスの対宙砲台を上回った。

『何の問題もありません。艦長の娘たちと、プリズナー……アナタの相棒が何とかしてくれるコトでしょう』
「トゥランが?」意外にもプリズナーが反論する。

「確かにアイツは、優秀なアーキテクターだが、サイズが違いすぎだろ」
「ボクも同感だ。クラーケンの戦闘機は、トゥランや娘たちのアーキテクターに比べ、遥かに大きい。決定打を与えられるのか?」

『何の問題もありません』
 ベルダンディは、もう一度同じセリフを口にした。

「お、おじいちゃん、見てください! おっきなロボットが……」
 再びセノンの指さす先を見ると、十メートルくらいのロボットの群れが、MVSクロノ・カイロスの周りを取り囲んでいた。

 

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