ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

一千年間引き篭もり男・第02章・11話

f:id:eitihinomoto:20190804105805p:plain

重機ロボット

 ボクは『クヴァヴァさま』こと、クーヴァルヴァリアの腕を、やんわりと振りほどいた。

 「もう一度、格納庫に行って、使えそうな『重機ロボ』を見つけよう。そいつを使って、ここから上の街まで登るのは無理なのかな?」
 一千年後の未来に来たばかりのボクは、まだ世界のあらゆる常識を知らないでいた。

「そいつは無理だぜ。重機ロボは例え無傷でも、責任者の命令以外は聞かないんだ」
 『マケマケ』こと、『真央=ケイトハルト・マッケンジー』が言った。
「このプラントの管理責任者でも呼びつけなきゃ、重機ロボどもは指一本、動かさないぜ」

「それもそうか? 誰でも簡単に動かせてしまったら、テロとか暴動に使われそうだモンな」
「いいえ、そうとも限りませんわ」品のある声が、反論する。

「この『クーヴァルヴァリア・カルデシア・デルカーダ』は、カルデシア財団の創始者の一族なのですよ? わたくしの『コミュニケーション・リング』の権限があれば、重機ロボを動かせますわ」
 金色のエングレービングを施した宇宙服に、身を包んだ少女が言った。

「よし。それならまず、ボクとクヴァヴァさまで、格納庫に行って見てくるよ。真央と世音は、ケガ人の子たちとここにいて」「わかったぜ」「気を付けて、行って来てね。おじいちゃん、クヴァヴァさま!」
 ボクは、クーヴァルヴァリアを連れて、格納庫に向かう。

「あの……宇宙斗様」ボクの後ろを飛んでいた、金色のヘルメットの少女が話しかけて来た。
「できれば『クヴァヴァさま』とお呼びになるのは、止めていただきたいのですが?」

「やっぱこの時代でも、変ったあだ名なんだ?」「はい」
 セノンのネーミングセンスは、やはりおかしかった。
「じゃあ、なんて呼べばいい?」「そ、そうですね……」

「『クーリア』などは、いかがでしょうか?」彼女は少し黙ったあと、照れながら答える。
「クーリア……か。可愛らしい名前だね」
「わ、わたくしのおじいさまが、そう呼んでくれておりましたの」理由も意外に、可愛らしかった。

「わかったよ、クーリア」「あ、ありがとうございます」
 金色のヘルメットは、何故かソッポを見た。
ボクはクーリアを連れて、再び格納庫の床に着地する。

「ダイナマイトを探していたときは、暗くて奥まで良く見えなかったんだ」
 格納庫は、僅かに開いた金属の扉があり、その向こうに空間が広がっていた。
「我がカルデシア財団のプラントとは言え、使われなくなって年月が経過しておりますから」

「どうやら奥は、あちこち崩落して酷い有様だね。お陰でダイナマイトが手に入ったのか?」
 奥に進むにつれ、瓦礫の量が増え、所々で天井や床が崩落していた。
『ゴォン、ゴォン』と、音が聞こえ、やがてそれは間近に近づいて来る。

「あッ!? あった。あれが、作業用の重機ロボだよね?」
「そ、そうですケド、おかしいですわ!?」「え……?」
 サーチライトのような赤い光が、ボクらの前を横切った。

 ボクは咄嗟に、クヴァヴァさまを抱えて後ろに飛ぶ。
次の瞬間、巨大な重機のショベルが、光の横切った場所を根こそぎえぐり取る。

「うわあああッーーーーーー!!?」「きゃああああッーーーーーーーーーーー!!?」
 ボクたちは、後ろに吹き飛ばされ。金属の壁に叩きつけられる。

「な、なんで……重機ロボが……!?」「き、起動しているのですかッ!?」
 暗闇の中を、巨大な重機ロボの群れが、無造作に壁や建物を破壊していた。

 重機ロボは、上半身は人型に近い物が多いが、下半身は四つ足や八つ足だったりする。
例えばショベル型の機体は、複数のショベルの腕が、腹の吸引口に掘った岩石を放り込む仕組みで、尻尾のように長いパイプの先には、別の選別用ロボットが接続されていた。


「こ……これが未来のロボットか?す、凄いな……」
「こんな旧式のロボットに、関心している場合ではありません。どうして暴走しているのか解りませんが、逃げないと死んでしまいますわ!!?」


 ボクからしてみれば最新のロボットでも、クーリアから見れば時代遅れの旧型品なのだ。
「わ、解った。ここから、離れよう!!」ボクは彼女と合流し、来た経路に戻る。
すると、再び赤い光が過ぎった。

 ロボットの巨大なスタンプが、餅つきの杵のように金属の地面に降り降ろされる。
「うわあぁぁッ!!? ……こ、こいつら、無作為に暴れまわってるんじゃない!?」
「わたくしたちを、狙っておりますわ!!?」

「我らは、『時の魔女』さまの下僕」「人類は『時の魔女』さまの、支配下に入るのだ」
 流ちょうな日本語だった。

 喋っていたのは、紛れもなく『暴れ周っていた重機ロボ』たちだった。