ラノベブログDA王

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王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

ある意味勇者の魔王征伐~第5章・15話

ヘアサロン

「お前たち、可愛らしい髪にしてもらって、よかったのォ?」
 イマイチ、感情のこもらない言葉で、ルーシェリアが八人の少女の髪型を褒めた。

「良かったモン」「けっこーお洒落な気がするモン」
「せっかく人間の女子になったし、可愛いのもありな気がするモン?」
「オーオー、それは良かったのじゃ。めでたい、めでたい」

 どうも、素直に喜んで無さそうな、漆黒の髪の少女。
「ルーシェリア? なんか機嫌悪くないか?」
「べ……別にィ、なのじゃ」「なに、怒ってるんだよ?」

 漆黒の髪の少女は、明らかに不機嫌そうに自らの髪をいじっている。
「どうしたモン?」「ご主人サマ……ご機嫌斜めモン?」「いかがされたモン?」
元・富の魔王の八つ子姉妹も、ルーシェリアの様子を気にし始めた。

「……それは怒るであろうな? お前たちは、主人を差し置いて髪をカットされたのだぞ?」
「その前に我らも、この美しいリボンで髪を結って貰っているがな!」

 白く輝く髪の双子は、それぞれの髪を結んでいる『エメラルドグリーンのリボン』と、『ダークパープルのリボン』をわざとらしく自慢した。
「そッ、そうなのかモン?」「……それは差し出がましいコト、されたモン~!」

 いきなり態度を豹変させる八つ子姉妹。
「ええ!? 髪を切ったくらいで、なにが問題なんだよ?」
「これだから、ご主人サマのご主人サマはモン!」「解ってないモン!」

「クウウウウゥゥゥゥーーーーーーッ!!! おのれい!?」
 突然、大声を張り上げるルーシェリア。
「どうして妾の髪はいじらんのじゃ!! はっきり答えてもらおうか……ご主人サマよ!!!」

「ええッ!? そ、そんなぁ……」舞人は反論しようとしたが、紅の瞳がそれを遮る。
「わ、わかった……切るよォ!! ルーシェリアの髪も、いじらせて~!!」
 女心を理解できない少年は、仕方なくもう一度ハサミを手にする。

「……ルーシェリアの髪って、黒くて艶も無いのに、物凄くキレイだよな?」
 しかし、いざハサミを握ってみると、嘘は嘘で無くなっていた。

「……これだけ長いと、ロング・ツインテールも似合うな。それに、ウェーブをかけて大人っぽく仕上げるのもアリだ!」
 その頃にはルーシェリアの機嫌も直り、逆に上機嫌にすらなっている。

「そうじゃろ、そうじゃろ! 妾の髪は美しいかぇ? どんどんいじるが良かろォ~♪」
 人気カリスマ美容師並に働く少年に、今度は幼馴染みと双子司祭が問いかける。

「舞人ってやっぱ、ミステリアスな黒髪が好みなんだ。平凡は栗毛なんて、興味ないよね?」
「舞人くんって、可愛らしい年下が好みなんだね?」
「年上のお姉さんの髪には、興味がないんですね?」

 流石の舞人も、三人の質問が何を要求しているのかを理解した。
「わ、わかったよ。どんな髪型が良いんだ」叫ぶ舞人。
その後、教会の床に栗色の髪と、ピンク色のホワホワヘアが落ちる。

「ねえ、舞人くん? 舞人くんの傷って、雪影さんに付けられたモノだよねえ?」
 頭の右側に、クルクルとした薄いピンク色の髪を束ねた、少女が尋ねた。

「アレから今まで、一体何があったんです? 話しては……いただけませんか?」
 頭の左側に、ストレートパーマをかけた薄いピンク色の髪を垂らした、少女も質問する。

「……です……よね」少年はハサミをテーブルに置いた。
「実はアレから、ルーシェリアの部下である『富の魔王』の城に向うコトになって、そこで偶然雪影さんと会ったんです……」舞人は、それからの経緯も事細かに話す。

「やっぱ、ボクって『間抜』ですよね。雪影さんの言う通りです。少女になったとは言え、元・魔王のこいつらを許す人間ばかりじゃ無いのに」 少年は、ルーシェリアや、ネリーニャとルビーニャの双子姉妹、八人の少女たちを見つめた。

「……わたしもリーフレアがもし、助かってなかったら……」「ね、姉さま……」
 リーセシルとリーフレアの双子司祭は、元・死霊の魔王の双子姉妹とにらみ合う。
「でも……今、妹は生きていてくれてるから」リーセシルの瞳に潜んだ恨みも、薄らいでいた。

「舞人くん。実はわたし達は……」
「舞人さんにお城まで来ていただきたくて、今まで待っていたんです」
 リーセシルとリーフレアは、本来の使命を舞人に伝える。

「ボクを……コイツ等を、どうするつもりですか?」
 不安そうに見つめる少年の瞳を前に、双子司祭は顔を見合わせる。

「……わからない。決めるのは、わたし達じゃないから。だからまず……わたし達だけで戻るよ」
「それでプリムラーナ様に、話を通してみます。あのお方なら、色々な対処法を知っているんじゃないかと思うので……」

「ずっと、このままってワケには行きませんものね……お願いします」
 少年は、力無く答えた。

「だからと言って妾は、どこぞに隠れて、ビクビク怯えながら生きるな、真っ平ゴメンじゃぞ!」
 ゴスロリ風のクルクルとした髪型となった、漆黒の髪の少女が真っ直ぐ少年を見つめる。

「ルーシェリア……そうだね。キミには、そんな生き方は似合わない!」
(ボクは、必ずキミを守るよ。だから、もっと強く……賢くならなくちゃ……)
 少年は心の中で、『手にした漆黒の髪』に誓った。

 

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