ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第5章・13話

ありがとう

 栗色の髪の少女は、ネリーニャとルビーニャの変化に驚きながらも、幼馴染みの治療を続けた。

 すると双子の影から、さらに幼なそうな八人の少女が顔を出す。
「……お、お邪魔してるモン」「『ご主人サマのご主人サマ』は、治りそうかモン?」
「ご主人サマのご主人サマ……って?」パレアナは、言ってる意味が理解出来なかった。
「このモノ達は、ルーシェリアの配下」「ルーシェリアは今、この少年に仕えている」

「……ああ。そーゆー意味で?」双子の説明に、パレアナもやっと理解する。
 八人の少女のうち、四人はレモン色のボサボサ髪にパッションピンクの瞳をしていて、残りの四人は、サーモンピンク色の長い乱れ髪ライトパープルの瞳をしていた。

「ところで、みんなのお名前は?」栗毛の少女の質問に、八つ子は不服そうな表情をする。
「まだ付けてもらって無いモン」「ネリーニャたちに負けてるみたいだモン!」
「なんだか悔しいモン!」「さっさと目覚めて、付けて欲しいもんだモン!」

「大丈夫……直ぐに良くなるわ」パレアナは、お姉さんみたいな表情で言った。
「コイツ、昔っから無茶ばかりして、しょっちゅう怪我して帰って来たのよ。でも、治るのも人一倍早いから、明日にはケロっと起きてるわ……きっと」

 次の日少年は、教会の樫の木に留まった小鳥のさえずりによって目を覚した。

 ふと目をやると、ベットの傍らで『栗色の髪の少女』がスヤスヤと寝息を立てている。
ベットの横の椅子には、ネリーニャとルビーニャが互いに寄り添い会って、寝ていた。
さらには舞人の寝ているベットには、八人の少女たちがゴロゴロと転がっている。

「……そっか。有難う、パレアナ。お前に助けられてばかりだな、ボクは」
 舞人はパレアナに自分の毛布をかけると、少女たちを起こさないようにそっとベットを抜け出し、教会の聖堂へと向った。

 そこには、『主の像』の足元に寄りかかって眠ってしまっている、双子姉妹が居た。
「リーセシルさん……リーフレアさん……」舞人は離れから毛布を持ってきて、二人にも掛ける。
「……どうしよう……寝ちゃってる。ルーシェリアは……助かったのか?」

「目覚めたか……ご主人サマよ?」そのとき、聖堂の入り口から声がした。
 そこに立っていたのは、『漆黒の髪の紅い瞳をした少女』だった。
教会の窓から降り注ぐステンドグラスの光を浴びるルーシェリアは、神々しささえ纏って見える。

「ルーシェリア、無事だったんだ!!?」舞人は、元魔王の少女を抱きしめた。
「この者たちのお陰じゃよ。妾にかかった呪いを、夜通し解呪してくれていたのじゃ……」
「ボクの呪いを受けるなんて……無茶し過ぎなんだよ!」「ご主人さまに言われたくは無いのォ?」

 それから舞人は、目を覚ました双子司祭に何度も礼を言った。
「本当に有難う。ルーシェリアを助けてくれて……何てお礼を言ったらいいか」
「いいよォ? 舞人くんには、『妹を助けてもらった借り』があるからねえ!」

 リーセシルがそう言うと、妹のリーフレアも続ける。
「そうですよ、舞人さん。今、わたしがこうして生きてるのは、舞人さんのお陰なんですから」
「でも、リーフレアさんを傷付けた死霊の王も、今はボクの仲間なんです。スミマセンでした!!」

「何故、ご主人サマが、謝るのかえ? あの双子どもに、謝らせれば良かろう?」
「アイツらが、謝るワケ無いだろ?」「そ、それもそうじゃのォ」
「いいですよ。もう、気にしてませんから」メガネの司祭は、ニコリと微笑んだ。

「し……しかし、それはあくまで、ご主人サマの話じゃからな。妾は……その……あっ……あり……」
「『ありがとう』だろ? ルーシェリア」「……アリニャトウ……うにゃ!?」
 可愛らしく噛んだ少女を見て、双子姉妹は大いに笑った。

「コ……コラ、笑うで無い! これだから人間というヤツは……まったくゥ!!!」
 漆黒の髪の少女は、大きく頬を膨らませる。

「リーセシルさん、リーフレアさん。あの……少しだけ待っててもらえますか? 」
「ん? 別にいいけど……?」「どうされたんですか、舞人さん?」
「助けてもらった、お礼を……チョット」舞人はそう言うと、教会のキッチンへと向った。

 栗毛の少女が目覚めると、自分の肩に毛布が掛けられてることに気付いた。
「ア……アレ、舞人……? どこォに居るのォ……もう! どこ行っちゃったのよォ!?」

 すると部屋の外から、『良い匂い』が漂って来る。
「……わあああ。なんだか、すっごく美味しそうな匂いがする!」
 その時、少女の腹の虫が大きく鳴った。

「アワワ!? そ、そっか。昨日から何も食べて無いから……」
 パレアナは自然と、匂いのする方角に歩き出す。
栗毛の少女が教会の食堂に辿り着くと、テーブルに豪華な料理が並んでいた。

「あっ! ルーシェリアちゃん、治ったんだ。良かったぁ」
 そこに、ルーシェリアの姿を見つけた栗毛の少女は、まるで自分のことの様に喜んだ。
「心配を……かけたのォ。すまなかったのじゃ、パレアナ」漆黒の髪の少女は、不器用に礼を言う。

「そう言う時は、『ありがとう』でいいんだよ、ルーシェリア。なあ、パレアナ?」
 そこには、少女の待ち望んでいた『少年の笑顔』があった。

 

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