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ある意味勇者の魔王征伐~第5章・10話

八つ裂き

「蒼き髪の少年よ……」「そのまま消滅させてしまえ」
 ネリーニャとルビーニャが、ボソリと言った。

「グヌヌッ!? よく考えれば三百年前、我が主『ルーシェリア・アルバ・サタナーティア』様に戦いを挑み、敗れて地の底に封印されていたハズなのに……どうして復活しているのですか!?」
「え? ネビルって、ルーシェリアが封印してたの?」

 マモンと舞人の質問に、ルーシェリアは肩を竦めながら答えた。
「そうじゃったかな? 誰かのせいで、妾が力を失ったお陰で、こヤツらの封印が解かれたのじゃよ。今は見ての通り……情け無い少女の姿だがな」

「キサマに言われたくない!」「自分だって、情け無い姿!」「なんじゃとォ!?」
 ルーシェリアと、ネリーニャ、マリーニャの双子姉妹は、口喧嘩を始めた。

「仕方ないなあ。『マモン・アマイモン・マンモーン』……覚悟は出来てる?」
「ああ、大丈夫ですぞ」「人間になれば、たぶん元には戻れないんだよ?」
「さて……それはどうかのォ?」漆黒の髪の少女は、意味有り気な台詞を呟いた。

「覚悟は出来ております。さあ、一思いにやって下され!!」富の魔王は、妙に乗りきだった。
「じゃあ、行くよ! 無抵抗の相手に剣を振るうのって、なんだか気が引けるケド……」
 少年が渾身の力を込めて『ガラクタ剣』を一閃しようと、剣を振り上げる。

「ククク……ソラ!」双子のうちネリーニャが、小さな石を投げた。
「ほわああぁぁ~~!」舞人は、石につまづき、床に足を滑らせた。
 魔王が真っ二つになった後、体制を立て直すため剣を横に振ると、それも魔王に直撃してしまう。

「じゃあ、もう一つ!」ルビーニャも、面白がって石を投げる。
「フガッ!! うわああああ!?」勢い合って魔王を袈裟斬りにし、さらに逆袈裟も叩きこんだ。
「……し、しし……まったぁぁぁぁーーーッ!!?!」

 富の魔王は二つの首の間で両断され、更に上半身と下半身にも分断され、エックスの字にも斬られ、文字通り『八つ裂き』にされる。
 八つの巨大な塊が、地鳴りを上げて大理石の床に転げ落ちた。

「……い、一体何だったのだ……? 魔王が自ら少年の手にかかった……だと!?」
 目の前で繰り広げられた会話や、出来事に驚きを隠せない雪影。
その背後で、八つに分割かれた魔王の体が光り始める。

「……こ、これは、な、何が起きようとしているのだ!!?」
 八つの輝きはウネウネと蠢き、やがて光が収まるとそれぞれが形を固定化させた。

「痛タタ……だモン?」「こ……ここはどこだモン?」
「なんか、体が軽いモン?」「もしかして、人間になれたのかモン?」
 八つの光は、『八人の少女』へと変貌を遂げる。

「なッ……なんだとォ! まッ……魔王が、八人の少女に!!?」
 雪影は、目の前で起こっている『現実』が理解出来なかった。

「アレレ……でも、八人になってるモン?」「確か、にとーぶんだったハズもん?」
「お、おかしいモン!?」「身体が、チンチクリンもん!?」
 富の魔王は、十歳くらいの少女に成り下がっていた。

「ゴ……ゴメン! なんか、足元が滑っちゃって……どうしよう!? ボクは大変なミスを……!?」
 少女たちは何故か、半分の四人がレモン色のボサボサ髪に、パッションピンクの瞳になっている。
もう半分の四人が、サーモンピンク色の長い乱れ髪に、ライトパープルの瞳だった。

「まあ、気にするなモン♪」「人生、諦めが肝心だモン♪」「賑やかで良いモン♪」
「せっかく八人人になれたんだし、それはそれで楽しむモン♪」
 『元・富の魔王』の八人の少女たちは、妙にポジティブだった。

「ホラ、これ着て。こんなコトもあろうかと、女の子用の服を多めに用意しておいたんだ」
 舞人は、見た目十歳くらいの八人の少女に、リュックに詰め込んでいた着替えを着せた。
「ヤレヤレ……じゃ。八つに分断されてしまったせいか、性格まで幼くなってしまったのォ」

「フン……座間ぁ無い」「その方が似合ってる」
 ネリーニャとルビーニャの双子姉妹が嫌味を言い放つと、八つ子は主であるルーシェリアの足元へと集結する。

「ふ~んだモン!」「お前たちこそ、そんなチンチクリンになってだモン!」
「お前たちの方がチンチクリン……」「アホ過ぎる……」双子は直ぐに切り返す。
「なんだとォ~だモン!」「ルーさま……アイツらがイジメるモン!」

 八人の少女にじゃれ付かれ、ルーシェリアは今まで味わったことの無い気持ちになって、彼女たちの頭を撫でた。
「な、なんじゃ……可愛いのォ。ホレ、お主らも、我が妹たちをイジメるで無いわ!」

 蒼髪の少年は、少女たちの些細な喧嘩を温かい目で見守っていた。

 

次回・白紫色の髪の剣士

ある意味勇者の魔王征伐~第5章・11話 - ラノベブログDA王