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萌え茶道部の文貴くん。第三章・第四話

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曜変天目

「それにしても、随分と個性豊かなお茶碗ですわねえ? わたしのなんて黒光りしてて、変ったマダラ模様になってるわ?」
 ナース服に残念な体を包んだ香住 癒音が、飲み終えた抹茶茶碗を不思議そうに眺めている。

「それは『曜変天目』に近い模様の茶碗だね」「ようへ……ン?」
 ナース服・学生服化推進委員会の部長は、首をかしげた。

「『曜変天目』は、宇宙に浮かぶ蒼い星々をイメージした模様の茶碗でね。南宋時代に中国で作られたオリジナルは、星の一つ一つがもっと繊細で、天空に輝く蒼い星々のように見えるよ」

「それじゃあ、これは偽物ってことですの?」ナース服少女は率直な疑問を口にした。
 渡辺は少し悩んで答える。
「う~ん。曜変天目は技法って言った方が良くて、だから偽物って表現はどうなんだろ?」

 渡辺の言葉に、癒音は再び抹茶茶碗に目を落とす。
「曜変天目は、中国では完全な品が見つかってなくて、製造技術が一端は失われていたんだ。でも、それを現代の陶工たちが頑張って、復活させたんだ」
「そうなんですの? 素晴らしいですわ♪」

「その茶碗は民芸品で値段も手ごろだケド、技法を再現する過程で生まれた技法を使ったのかもね。ボクの勝手な予想だケド」
「蒼い星々ってより、アステロイドベルトの岩石群って感じだものね」

 渡辺は、癒音が眺める黒光りする抹茶茶碗を、『アステロイドベルト』と形容し『明日露』と命名したのは、あの火事以来ずっと行方不明な『千乃 美夜美』先輩である事を思い出していた。

「ボクの抹茶茶碗も、森林迷彩みたいな模様だ。なんかカッコいい!」
 水鉄砲サバゲ部の栗林 伊吹も、自分の抹茶茶碗を興味深げに眺め回している。


「コレも黄土色でゴツゴツで、なんか化石みたいガオー! 発掘してみたくなるガオー♪」
「……発掘はしないでね、海野さん」 
「タツホでいいガオ。だいじょ~ぶ、割ったりしないガオ~♪」

 会議の雰囲気も、いく分か和らぐ。

 それを見計らって、渡辺が話を始めた。
「コイツ……橋元とは、子供の頃からの腐れ縁で、昔から人を煽って面白がる悪いクセがあるんです」
「フ~ンだ」渡辺が視線を向けると、橋元は駄々っ子のように目を逸らす。

「この部室棟を使っているのは、生徒会ではなくオレ達なんです。生徒会長に詰め寄るだけでは、問題は何も解決しません」
 一同は渡辺に注目する。

 渡辺は、皆がどういった反応を見せるのかを、固唾を呑んで見守った。

「自分らの居場所を守るためには、自分らで行動しろって事か?」
 迷彩水着姿で、迷彩グリーンの抹茶茶碗を手に持った栗林 伊吹が、サラッと結論を出す。
「た、確かにそうかも……ね?」「まずは、自分たちが動かないとアル!」

「でも、橋元が言ったように、一端動き出した大型工事の計画を途中で止めるのは、かなり厳しいのは事実だぜ?」アスファルト研究部の工藤 梢が否定的な意見を出した。
「あたしらも、色んな道路工事の現場を見学させてもらってるケド、一端始まったプロジェクトは期限内に完遂が当たり前だ。解体や建築でも話は同じハズだよ」

「でも、あたし……ヤッパ諦められない! みんなと踊れる場所を、やっと見つけたのに……」
 巫女・美娘ダンシング部の天原 礼於奈が、再び感情を露にした。

「諦める必要は無いよ、天原さん。まだまだやれる事はたくさんある。でも、反対反対と言ってるだけじゃ拉致が開かない」
「……つまり、我々みんなで考え、対案を出せ…と仰るのですね?」
 メイド流剣道部の御子神 涼香の言葉に、茶道部の部長はうなずく。

「そうは言っても、ボク達には何の糸口も無いよ。これじゃ、攻略のしようが……」
「もう一度、情報を整理してみましょう……栗林さん」
 渡辺は、長机に向かい会った一同を見渡した。

「情報って何をアル? 今わかってんのは、部室棟が取り壊されるってコトと……」
「そこに入ってる部活が、廃部になっちゃうってコトくらいガオ??」

「まさにそれだよ」「え?」「どういうコト?」
 居並んだ部長たちは、顔に疑問符を浮かべた。

 

次回・三献の茶

萌え茶道部の文貴くん。第三章・第五話 - ラノベブログDA王