ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第5章・6話

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ネリーニャとルビーニャ

「パレアナ嬢。知れば、キミにまで迷惑が及ぶ可能性もあるので、余り詳しくは話せないが、とても重要な用件なのだ。知っていることを全て話して欲しい……」

「ええッ! そんな大変なことに、巻き込まれちゃってるんですか、舞人は……!?」
 プリムラーナの言葉に、不安そうに遠くの山を見つめる栗毛の少女。

 そのころ蒼髪の少年は、幼馴染みの少女の心配を他所に、三人の少女を従えて岩山を登っていた。

「なあ、ルーシェリア。お前の手下だった魔王の城は、ホントにこっちで合ってるのか?」
「妾の言うことが、信じられんのかえ?」
 自らの示した登山ルートに、疑問を抱かれた漆黒の髪の少女は、ソッポを向いて答える。

「まあ、無理も無かろう。妾は極悪非道な、冥府の魔王にして暗黒の魔王だったのじゃからなあ」
 かつての威勢を張る、ルーシェリア。

「でも今は、『可愛らしい女の子』だケドね」
「ニャッ! きゅっ、急に何を言い出すのじゃ、ご主人サマは!?」
 舞人の言葉に作為は無かったが、ルーシェリアは顔を赤く染めた。

「ボクは『魔王』とか『魔族』について、ぜんぜん詳しくは無いんだケド、『魔王』って存在はけっこう珍しいモノなのか?」
 とつぜん話題を変えられたルーシェリアは、紅い瞳も気だるそうに話し始める。

「これから会いに行く魔王は、人間の世界で言えば『領主』クラスじゃ。どこにでも居るワケでも無いが、差ほど珍しい存在でもない。妾のような『エリート大魔王』と違ってのォ」
「……ふ~ん。でも、ボクみたいな一般庶民から見れば、王さまも領主も特別だけどな~?」

「フッフッフ! やっと妾の偉大さが、理解出来たようじゃな。ご主人サマよ?」  
「……偉大な大魔王ねえ~?」少年は漆黒の頭を、ポンポンと軽く叩いた。
「ところで、『ネビル・ネグロース・マドゥルーキス』……キミたちも魔王なのか?」

 質問を受けて、白い髪にオレンジ色の瞳をした双子の少女が答える。
「厳密に言えば違う。我は、『邪神』だの『死神』だのと呼ばれることの方が……」
「厳密に言えば違う。我は、『邪神』だの『死神』だのと呼ばれることの方が……」

 同じ台詞を同じタイミングで言った二人の少女は、顔を見合わせ臨戦態勢に入った。
「我こそが真の、『ネビル』ぞ!!」「いいや! 我こそが、誠の『ネビル』よ!!」
 いつもの生産性の無い会話ループに、舞人はため息を付いた。

「それじゃあ、名前を決めよう! せっかく新しく生まれ変わったんだし、それが良いよ!」
「……なっ! 何を勝手に話を進めておるのだ!?」「わ、我は認めんぞ!!」
 しかし少年は、少女たちの意見など全く無視して、街で買った二色のリボンを取り出す。

 一人の髪を、エメラルドグリーンのリボンで左右に纏めて、ショートツインテールにした。
もう一人の髪を、ダークパープルのリボンで左右のお下げにして、前に垂らしす。
「これで良しっと!」「何が良いのだ!」「勝手に結ぶで無いわ!」

 二人が、頭に付いたリボンを振り解こうとするのを、少年は頭を撫でて制した。

「キミは今日から、『ネリーニャ・ネグロース・マドゥルーキス』だね」
 舞人は、エメラルドグリーンのリボンの、ツインテール少女に向って言う。

「キミが今日から、『ルビーニャ・ネグロース・マドゥルーキス』だよ」
 少年は、ダークパープルのリボンのお下げ少女を抱きかかえた。

「……我が、『ネリーニャ』なのか?」「我が……『ルビーニャ』だと?」
 二人は、戸惑いの表情を浮かべる。
「うん! 二人とも可愛い名前だよ。髪型も、とってもよく似合ってる。なあ、ルーシェリア?」

「ま、元が『骸骨のハゲ頭』だったのじゃ。随分と出世したのでは無いかえ?」
 評価を求められた漆黒の髪の少女は、辛らつな答えを突き返す。

「何だと、キサマ!」「許さない!」
 今度は、ルーシェリアと双子が喧嘩を始めてしまい、舞人は再び頭を抱えた。

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