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萌え茶道部の文貴くん。第三章・第ニ話

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茶会型部活会議

 会議は、きっかり一時間後に開かれた。

 各部活の内部で意見がまとまらず、会議もお流れになれば……という橋元の目論見は見事に崩れ去る。
元々部員たちに『意見の相違』など無かったからである。

 オワコン棟に拠点を置く、十の部活の九人の部長たちが、部室の中央に二つ付き合わせに並べられた長机に顔を揃えた。
一つだけ座る者の居ない、茶道部・部長の席は除いて……。

「では、早速会議を始めたいと思います」
 その茶道部・部長の渡辺 文貴から、一言挨拶があった。

「会議の席ですので、本来なら玉露などの日本茶の方が向いているとは思いましたが、折角、茶道部に足を運んでいただいたので、抹茶を用意しました。作法なんてあまり気にせず、飲んでやって下さい」

 渡辺は点てた抹茶を、キワモノ部の部長たちの居並ぶ長机に次々と置き、絹絵がその隣に茶請けの栗羊かんを並べて行った。
 色とりどりで、形も様々な抹茶茶碗と、意味があるのか判らないが、机の合わせ目に並べられた美少女フィギュアの数々が、緊迫した場の雰囲気を幾ばくか和らげた。

「おんやあ? ひょっとしてそのコがウワサの新入部員かね?」
 牛乳ビンの底の様な、分厚いレンズの眼鏡をかけた少女が、渡辺に問いかけて来た。
               (電気ウナギ発電エコの会・部長 鯰尾 阿曇氏だ)
 

「……せん越ながら、先程からこぼれ聞こえる会話を拝聴しておりますに、いたいけな少女に『ご主人サマ』と呼ばわせているとは、渡辺様も中々のご趣味をお持ちの様子」
 ミニスカート型メイド服を着た髪の長い少女が、うやうやしくも棘のある言い方で続けた。
               (メイド流剣道部・部長 御子神 涼香さんである)

「……い、いやいやいやいや! これは違うんだ! ……あの、つまりだな」
 絹絵が勝手に呼んでるだけなのだが、そう言ってしまうのも気が引けた。

「今は、そんなコト言ってる場合じゃないアル! 危急存亡の刻に、何を悠長なアル!」
 三つ編み付きお団子を頭の少し後方にこさえた、正当チャイナ服少女が声を荒げた。
               (チャイナ服少女・復権友の会・部長 一条 明美ちゃんだ。)

「まあ、校舎が老朽化してるってのは事実だぜ。でも、流石に使用してる生徒の許諾も取らないで解体は酷いね。今の時代、改修を検討すべきだよ」
 作業服の上着と、後ろに『安全第一』、『+』と書かれた黄色いブルマの少女が提案した。
               (アスファルト研究部・部長 工藤 梢さんだ)

「いやあ、改修っつっても、解体するより費用かかるんじゃね? 鉄筋とはいえ、耐震基準も満たして無さそうだし、そこまでする価値のある建物とも思えん」
 なぜか茶道部に所属の生徒会長サマが、余計な一言を口走る。

  渡辺は内心、また橋元の悪い癖が始まったと思った。
 (コイツには昔から、人を煽って怒らせて、反応を見て楽しむクセがあるんだ)
 その瞬間から、比較的穏やかだった部室の雰囲気が、一変してしまう。

「アンタだって、一応は茶道部に所属してんのに何なのさ! そうやって大人ぶって、冷めた振りして……ダッサ! カッコいいとでも思ってんの!」
 巫女さんの衣装をレオタード風にアレンジした服の少女が、橋元に喰ってかかる。
               (巫女・美娘ダンシング部・部長 天原 礼於奈さんだ。)

「もう一度言うが、学校側で決まったコトなんだぜ、礼於奈? 理事会も通ってる。梢ちゃんだって、施工寸前の工事を止めるのが、どれだけ大変かってくらいはわかるよね?」
「……そ、それは……」アスファルト部の部長は反論できなかった。

「文句があんなら、代替案を出せよ。他に何かいい案があるワケでも無いクセに、ギャアギャアわめくだけなら会議なんて意味ねえだろ?」
 橋元は、突き放すように言い放つ。

「だ、だからって、ハイそうですかって、すんなり納得出来るとでも思ってんの!」
 巫女型レオタードの少女は、目にうっすらと涙を浮かべ、悔しさをにじませる。

 その時、メイド服姿の少女が別の角度から、辛らつな質問を生徒会長に突きつけた。
「……ところで橋元様。貴方様と、生徒会の副会長であらせられる『後醍醐 沙耶歌』女史は、何でも親同士の決めた許嫁だとか?」

「え? マジでアル?」「醍醐寺ってアレ……ガオ?」「この学校の理事長の名前も、……確か?」
「そう……『醍醐寺 沙耶歌』女史は、現・学園理事長のご息女なのです」

 メイド流剣道部・部長の御子神 涼香の言葉に、生徒会長の顔から、それまでの余裕が消えた。 

 

次回・抹茶の温度

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