ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第5章・5話

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女性から見た世界

 覇王パーティーが誇る双子司祭は、ニャ・ヤーゴ城の台所に立っていた。

「リーセシルにリーフレア、悪いこたぁ言わねえ。それはただの『岩盤みたく硬てえ消し炭』だ」
 クーレマンスが、双子姉妹のありがた迷惑な料理を引き留める。
「お礼のつもりだろうが、もって行くのは寄せ……」

 双子姉妹は、同じ表情で大男を睨んだ。
「黙れ筋肉!!」「舞人さんのタメに、頑張って作ったパイを!!」
……とは言ってみたものの、今回ばかりはクーレマンスが正しかった。

「だったら、お前が喰えェ!!」「こっちも、ホラァ!!」
 双子姉妹はソレを筋肉の口に突っ込んで、出て行ってしまった。

「オエエッ、マッジーーーィ!? オレさまの口は、ゴミ箱じゃねえぞ!」
 クーレマンスは、口に詰まった消し炭を、吐き出す。

「あ、あの二人、呪文に関しては天才的で、器用にマスターして使いこなすクセに、料理に関しては壊滅的に不器用だな……」

「あのコたち、父方の祖父が『ハイ・エルフ』で、母方の祖母が『エアリアル』らしいわよ。妖精も王侯貴族ともなると、ロクに料理も作ったコト無いんじゃないかしら」
 クーレマンスの後ろから現れた、カーデリアが言った。

「『森の高位精霊』と、『風の高位精霊』の血をひいてやがったのか……でもよ。高位精霊ってのは、みんな料理下手なのか?」
 カーデリアは、クーレマンスのどうでもいい質問を無視して、城へと帰る。

 双子姉妹は、城門でプリムラーナ女将軍と落ち合うと、街外れの教会へと向った。

 小高い丘の上にある教会までの道は、発育の微妙な麦や野菜の畑にはさまれていた。
「この辺りは随分と土地が痩せているな? これでは、作物を育てるのも大変だろう」
 女将軍の言葉に、双子は意見を述べる。

「そうですねえ。これでも、みんな頑張って耕してるんだけどね」
「農業大国である、プリムラーナ様の『フラーニア共和国』には遠く及びませんが」 
「いや、そんなつもりでは……失礼した」プリムラーナは軽く頭を下げた。

「そう言えばフラーニア共和国は、王様を持たない国なんですよね。不思議~?」
 リーセシルの率直な疑問に、プリムラーナは優しく答える。

「ああ……我が国では共和制と言って、民が多数決によって代表者を選び、その代表者が集まって議会を運営しているからな。わたしも、議会の代表である議員長によって、派遣されているのだ」

「ふえ~?」双子の姉は、解ったような解らないような顔をした。
「ところで、派兵を受けている立場で恐縮ですけど、この国に長く留まられて大丈夫なのですか?」
双子の妹の質問に、金髪のグラマラスな女将軍は、クスクスと笑って答える。

「フフ……わたしはフラーニア軍の、一師団の将に過ぎないのだ。本国には、わたし以外にも優秀な将が大勢いるよ。とくに、『ジズィーダ・ヤジーン』という男が最近頭角を現してな。いずれヤツが、全軍の指揮を取ることになるだろう」

 三人が、女性同士で話すには少々無骨な会話に花を咲かせていると、既に教会の前に来ていた。

「……ここが、例の少年が生まれ育った教会か?」
「舞人くん、居るといいな?」「舞人さん……あのときのお礼を言わないと……」
 プリムラーナが、古びたドアノッカーを鳴らすと、中から栗色の髪の可愛らしい少女が出て来た。

「はあい……あのォ、どちら様で……ってアレッ!?」
 少女は三人の姿を見ると、急に慌てふためいた。

「もっ、もしかして、プリムラーナ様に、覇王パーティーのリーセシル様と、リーフレア様じゃありませんかぁ!? ど、どうしてウチなんかに、今をときめく有名人がぁ~ッ? ああ、どうしよう! まずは、おもてなしのお茶をお出ししないと……」

 一人で盛り上がってる少女に対して、三人は少し呆れ顔を見せる。
「少女よ。突然の訪問、申し訳無い。ところでこの教会に、因幡 舞人という少年は居られるかな?」
プリムラーナの質問に、少女はさらに驚きの表情を見せる。

「ま、舞人のヤツが、また何かやらかしたんですかぁ!? 今は留守なんですが……でも、きっと悪気があってやったワケじゃ無くてですね……ええっとォ!?」
 この後、三人は何とか少女を落ち着かせることに成功した。

「ごめんなさい……わたしったら、一人でパニクッちゃって。でも、舞人はホントに今留守なんです!」
「舞人くん、居ないんだ……残念」「あのときのお礼……言えないですね」
「ゴ、ゴメンなさい!」気を落す双子姉妹を見て、パレアナは何度も頭を下げる。

「……いや、突然訪れた非礼を詫びるのは、我らの方だ。それより、パレアナ嬢。舞人殿の行き先を聞いてはおらぬか? できれば彼には、城まで足を運んでもらいたいのだが?」

「パ、パレアナ嬢!? あ……アイツいつも突然、何も言わずに出て行っちゃうから……でも今回は、魔王退治の続きとか何とか言ってましたケド?」

 栗毛の少女の言葉に、来訪した三人は顔を見合わせた。

 

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