ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第5章・4話

力の魔王にして恐怖の魔王

 夜になって、一行は砂漠の中心でキャンプを張った。

「灼熱砂漠と言えど、夜は冷えるねえ。オレ、ちとションベンしてくっから、お前らもあそこの岩陰辺りで済ませて来いよ?」「……よ、余計な気遣いは不要だと言ったハズです!」
 二人の少女は、耳たぶまで真っ赤になる。

「ボクらのことはいいから、早く行って来なよ!」「ヘイヘイ……」
 シャロリュークが用を足しに行くと、後ろで岩陰に走る少女たちの姿があった。
「やれやれ……女ってのも、色々と大変なんだろうな~?」

 赤毛の英雄が、砂漠に浮かぶ月を見上げながら用を足していると、満月を黒い影が横切る。
「……なんだ、アレは??」影は直ぐさま、英雄の前に降り立った。

「貴様が、シャロリューク・シュタインベルグだな?」
 四枚の蝙蝠の翼に、獅子のタテガミを持った牛頭の魔物が、巨大な体躯で立ちはだかる。
「……お前、この砂漠の管理人か? 大方、ここは『ションベン禁止』だって、クレームでも言いに来たんだろ?」

「ガハハハハハハハ! まあ、そんなところだ。この砂漠は、『力の魔王』であり『恐怖の魔王』たる我、……『モラクス・ヒムノス・ゲヘナス』が支配下にあるのだあぁ!」
 獅子のタテガミを靡かせ、牛頭の悪魔は豪快に吼えた。

「砂漠の大将自らお出ましたあ、恐れいるぜ? で、オレと戦ろうってか?」
「その前に一つ聞いて置こう。『暗黒の魔王』にして『冥府の魔王』である『ルーシェリア・アルバ・サタナーティア』が、討ち倒された……という話は本当か?」

「……さあな? だが、『奴の城が崩壊した』……ってのは、事実だぜ?」
 シャロリュークは、『嘘』は言わなかった。
「フンッ! まあ良いわ。赤毛の英雄たる貴様とは、一戦交えて見たかったのでなあ!!」
恐怖の魔王は、巨大な剣を抜くと爆発的な突進力で襲い掛かって来る。

「来い! 『エクスマ・ベルゼ』ッ!!!」
 赤毛の英雄が叫ぶと、紅蓮の炎を纏った剣が瞬時に現れ、魔王の剣と斬り結んだ。

「これが噂に聞く『覇王剣』か!?  なる程、凄まじい『力』よッ!!!」
 魔王・モラクス・ヒムノス・ゲヘナスがそう語った通り、辺りにいたサソリやワームが、剣の放つ高熱によって一瞬にして蒸発した。

「……これは……何と凄まじい闘気!」「こんなの……凄過ぎるよ!」
 異変に気付いて駆けつけた、『アーメリア・ジーレティス』と『ジャーンティ・ナーラシャ』が、口々に驚嘆の声を発する。

「おう、お前ら……ずいぶんと長かったなぁ?」少女たちの耳たぶは、再び赤く染まった。
「……そっ、そーゆー言い方は、お止め下さい!」「子供ですか! エッチ!」
 アーメリアはソッポを向き、ジャーンティは舌を出した。

「グフフフフ……貴様が真の力は、まだまだこんなモノでは無かろう?」
「……まあな? それより、テメエが持ってるその剣……」
 恐怖の魔王はニヤリと笑った。

「やはり、気付いたか? これは、貴様の『エクスマ・ベルゼ』と共に、『天下七剣』に数えられる名剣『バクウ・ブラナティス』よ!」魔王は、錆びた青銅色の石のような剣を、天に掲げる。
 赤毛の英雄は、表情を歪めた。

「……その剣はオッサンの。 ……『ムハー・アブデル・ラディオ』のモノだったハズだが?」
「奴は、見事な武人であったわ。この剣と共に我が記憶に、永遠に刻まれるであろう!」
 その言葉の意味を、三人は既に理解していた。

「バカな……! 『蜃気楼の剣士』と謳われた、ムハーさまがやられたと言うのか?」
「シャロリュークさま……ボクらも加勢を……」 
「悪ィが、オメエらはすっこんでな」赤毛の英雄は、荒々しいオーラを放つ。

「……アーメリア、ジャーンティ。悪いが、こっから先は別行動だ……」
「し、しかし!」「でもッ!」反論する、二人の少女騎士。
「オメエらは王都に向って、伝令の使命を果たせ! オレはコイツに用事が出来ちまった」

「……は、はい」「わかったよ」
 少女たちは、魔王や赤毛の英雄と、自分たちとのレベルの違いを、認めざるを得なかった。
「シャロリュークさま……」「ご武運を……」二人の使者は戦場に背を向ける。

 魔王は、武人の性格も持ち合わせているとは言え、背を向ける女の背中を狙うのを、躊躇する程甘くも無かったが、今は目の前の好敵手の方がよほど魅力的であった。
「これで、心おきなく戦えるというモノよ」「ああ……」

「行くぞ、赤毛の英雄!! 『力の魔王』にして『恐怖の魔王』と呼ばれた我が怪力と、この幻影剣『バクウ・ブラナティス』の力を受けるが良いッ!!」
「面白れェぜ。唸れ、『エクスマ・ベルゼ』よッ!! 灼熱となって、燃え盛りやがれ!!!」

 覇王剣の『赤い炎』が、『オレンジ』、『黄色』、『白』と変化し、最後は『青白く』光輝いた。
「グフフ……。剣の温度が、信じられないほど上昇して行くわ!!! ……こうで無くてはなぁ!!」
 
 数分後、二人の少女騎士は遠くで、夜の砂漠が昼間のように明るく輝く現象を、目撃する。

 

次回・女性から見た世界

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