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ある意味勇者の魔王征伐~第4章・12話

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死霊の王の末路

 舞人は、『おかしなパーツがゴテゴテ付いた剣』を、双子姉妹の前にかざした。

「この剣は、露店武器屋のオヤジから、店ごと武器を買ったときに付いて来たんだ」
「わたしも、その剣に何か感じたんだ。微かな歪みっていうのかな?」
 最初に露店武器屋で、剣をペタペタと触っていた、リーセシルが言った。

「あのお店、いわく付きの……武器ばかり、売ってましたよね」
 リーフレアはまだ、苦しそうに息をする。

「街の人からは『ガラクタ剣』なんて呼ばれちゃってるケド……やっぱ、いわく付きの剣だったんだ」
「いわくなどと生温い言葉で、済まされてたまるモノか」
 舞人がため息を付くと呼応するように、ルーシェリアも深いため息を付いた。

「また、厄介なことにならなければ良いんだけれど……」
「残念ながら、そうは行かんようじゃぞ、ご主人サマ。ホレ、見てみぃ」

 ルーシェリアが、教会の地下倉庫から持ち出した『禍々しいデザインの剣』を向けた先には、真っ二つにされた『死霊の王』が蠢(うごめ)いていた。

「一体、なんなの? 何が起きようとして……!?」
「姉さま。真っ二つにされた、骸骨が……光に包まれて……変化して行きます!?」
 双子司祭の姉は、瀕死の妹を守るように抱きかかえる。

 彼女たちが語ったように、『体の中央で両断された骸骨』は、それぞれが白い光に包まれ次第に姿を変えて行く。

「予想はしてたが……またかよ……!?」
「しかも、今度は二人じゃぞ? ご主人サマが、真っ二つになどしてしまったでのォ!」
 二つの光は別々に変化し、やがて輝きが消え失せると同時に、その姿を確定させた。

「おのれ……人間の分際でよくもッ!?」「我は死霊の王ぞ! この程度で、死には……んん!!?」
 二つに分かれた、かつて『死霊の王』と呼ばれた存在は、お互いの姿を見合って驚愕する。
「こ……ここ、こ、これはッ!!?」「ど……どど、どう言うことだぁッ!!?」

 互いの、オレンジ色に輝き始めた瞳には、『褐色の肌の少女の姿』しか映ってはいなかった。
「死霊の王が……女の子になっちゃった!!」
「し、しかも、わたしたちと同じ……双子ォ!?」

「いや、双子なのかなあ?」
 舞人は、ルーシェリアに尋ねた。

「そうじゃのォ。一つの生命が二つに分かれ、生まれ変わってそれぞれに生を受けたのじゃから、双子と呼んで差支えはあるまい」
 ルーシェリアは、小さな胸を張って言い放つ。

 真っ白な短髪に褐色の肌、オレンジ色の瞳をした同じ顔立ちの少女が、互いに向かって罵り合う。
「わ……我こそが、死霊の王『ネビル・ネグロース・マドゥルーキス』なるぞッ!」
「いや! 我が真の『ネビル・ネグロース・マドゥルーキス』であるッ!」

 一糸纏わぬ二人の少女は、あまりに生産的で無い会話を繰り返していた。

「ま、舞人くん! これは一体なに? 何なのォ~!?」
「どうなっているのですか……死霊の王が、双子の少女にって、意味不明過ぎですよォ!?」
 同じく、驚きを隠せない双子の司祭に、青髪の少年は頭を掻きながらワケを話した。

「詳しいことは、ボクもよく解らないんだケド、どうやら『この剣で斬られた魔物』は、別の存在……つまり人間の『女の子』になっちゃうみたいなんだ」

「そ、そんな……ま、まさかッ!?」「あ、あり得ません!!?」
 双子姉妹は揃って否定するが、目の前で生まれた『新たなる双子少女』の存在が、紛れも無い『真実』であることを示していた。

「コイツら二人とも、見た目は十二歳くらいだし流石に裸はマズイよな? ボク、服を借りて来ます。リーセシルさんたちも、今日のところは帰ったほうが良いですよぉ!」
 舞人は、まだ青白い炎が残る街中へと駆けて行った。

「舞人くん。今日はほんっとーに、アリガトね!!」
「舞人さん、有難う……ございます」
 薄いピンク色の髪の双子姉妹は、揃って礼を言う。

「つ、疲れたね。帰ろっか、リーフレア?」
「そうですね。帰りましょう、姉さま……」

 偶発的な戦いが終わり、結果だけ見れば『謎の少年と謎の剣の調査』も完了した双子姉妹だったが、流石に疲弊の色は隠せず、冴えない表情で月灯りの戦場を後にした。

 

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