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萌え茶道部の文貴くん。第一章・第三話

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オワコン棟のキワモノ部

 茶道部・審判の日は、突然に訪れる。
状況が一変したのは、タヌキを助けた次の日の昼だった

「おいおい、マジーぞ、渡辺! 旧部室棟が、取り壊される事が決まっちまった! 入ってる部活はあまり活動実績もね~部活ばかりだから、全部活『廃部の方向で検討』……だってよ!」
 血相を変えた橋元生徒会長さまが、渡辺の教室に飛び込んで来たのが事の始まりだった。

「ど、どういうコトだ、橋元。まあ、予想はしていなくもなかったが……」
「とにかくだ。茶道部も、旧部室棟を活動拠点にしてんのは確かだ」
「茶道部が、廃部の危機だと……放課後、部室に集まるぞ」「しゃーねえな」

 午後の授業を終えた渡辺と橋元は、古ボケた部室で対応策を練っていた。
「どうすっよ? 取り壊されるの、今度の夏休みからって話だぞ! もう二ヶ月もね~よ?」
「また急だな。どうすると言われても、いきなりそんな暴挙が許されるモノなのか……?」

「お前さあ。この部室棟や入ってる部活が、なんて呼ばれてるか知ってるか?」
 橋元は、畳張りの和風スペースに寝転がって、うす汚れた天井を見ながら言った。

「……うっ……それは……」渡辺は、言葉に詰まる。
 渡辺と橋本は二年生で、既に部室棟とも長い付き合いであり、どんな陰口を叩かれているかも把握していたからだ。

「『キワモノ部』の巣窟……『オワコン棟』だ!」
 橋元が言い放った通り、古びた部室棟には、『キワモノ部』と呼ばれるにふさわしい部活が集い、『色んな意味で終ったコンテンツの集合住宅』とさえ呼ばれていた。

「流石にお前でも聞き及んでる様だな。……え~っと、なんて部が入ってたっけかな?」
 渡辺は、記憶力の冴えない生徒会長の代わりに、『入居している部活』を羅列し始める。

「ウチの右隣が『恐竜なりきる部』、その向こうが『チャイナ服少女・復権友の会』、左隣が『未知との遭遇部』で、その向こうが『ナース服・学生服化推進委員会』だ」
「……ああ、そだっけ?」

「それから二階が、北から『アスファルト研究部』、『電気ウナギ発電・エコの会』、『巫女・美娘ダンシング部』、『メイド流剣道部』、『水鉄砲サバゲ部』……だな」

「……オマッ! いくら同居人とは言え、そんなどうでもいい名前、よく覚えてられんな?」
「まあな。どれもこれも、よく学校の承認が下りたモノだとは思うがな」

 (そりゃま~許可出したのオレだしな~♪)
「ん? 何か言ったか、橋元」「いや? 何もォ~♪」

 橋元は、和風スペースから、渡辺のいる長机の方にやって来た。
「言っちゃ悪いが、この部室棟を取り壊すのは仕方ないんじゃね? 鉄筋つっても雨は漏るし、年季が入っているから、今さら耐震補強なんてしても無駄なレベルっしょ?」

「そりゃ、そうかも知れんが……」渡辺は、目の前に来た生徒会長に抹茶を差し出す。
「ウチってさ。何年か前に、男子校と女子高を無理やり合併させて作られた学校だろ?」
 橋元は、菓子入れにあったキンツバを頬張りながら、茶をすすった。

「丘の上の、オレ達が普段、授業を受けている年期の入った校舎は、昔は仏教系の男子校だったそうだ。制服は学ランで、この部室棟も元は男子校の建物らしい」
「ホワチャア~。このダセー学ランも、男子校の時の名残りかよ?」

「精神主義的な校風で、運動部は全員が丸坊主な上、強制的に運動部に所属することを求められたそうだ。橋元……お前みたいな茶髪など、もっての他だったろうな?」
「うげぇ、マジで? 昔に生まれなくて良かった~」

「丘の下の女子校は、キリスト教系のお嬢様学校で、文学部の英才教育に力を入れ、各部活とも全国で優秀な成績を収めていたそうだ。制服は、セーラー服とブレザー、ボレロ、イートンジャケットから好きなのを選べた。この辺もまあ、現在まで引き継がれたってワケだ」

「妙に女子ばかり、優遇されてると思ったぜ。しかし、なんかさあ。聞けば聞くほど正反対じゃね~か? なんだってそんな水と油みたいな学校同士が、合併なんてしたんだろうな?」

「恐らく、少子化の影響だろう? 子供が減れば生徒も減少する。私学にとっちゃ少子化=(イコール)お客様が減るようなモンだからな」
「何それ? なんでもかんでも少子化のせいにすんなって!」

「あくまでオレの推測だがな。合併して、経営の合理化を模索したってのと、看板を掛け換えて、イメージを一新したかったんだろう?」

「要するに学校サイドとしては、老朽化した部室棟ごと、学校のイメージを損ないかねないキワモノ部まで、綺麗サッパリ取り壊したいってコトか……」橋元は抹茶を、飲み干した。
 渡辺の脳裏にふと、昨日の自転車での帰り道、自分が発した言葉が脳裏を過ぎる。

『それにしても、男子校と女子高を無理矢理合併させておいて、校舎はそのまま使うなんて無駄が多いよな? 予算削減の効果も、これじゃ殆ど無いじゃないか……』
 無論その時は、軽い気持ちで言ったに過ぎない。

「いざ、自分が……我が伝統ある茶道部が、その立場に立ってみると、到底納得がいか~~ん!」

 渡辺のメガネには、遠くの夕焼けが映っていた。

 

次回・雨の日の部室

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