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ある意味勇者の魔王征伐~第4章・3話

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謎の剣と少年と消えた魔王

 時間は遡る。

 小都市に過ぎないニャ・ヤーゴにしては、立派だと評判の城の最上部にある『小領主の間』。
ヴァカンベル平原で約束された『軍議』は、その日の夕刻に始まった。

「ねえ、シャロ。今回の魔王が消えた件、どう思う?」
 覇王パーティーのバニッシング・アーチャーである、カーデリア・アルメイダが幼馴染みに問いかける。

「どうって言われてもなあ、カーデリア」
 しかし、パッションピンク色のクルクル髪の幼馴染みに質問されても、シャロリューク・シュタインベルグは明確な答えを見つけられずにいた。

「魔王軍との戦に勝ったとは言え、肝心の魔王がどこにも見つからないんじゃな」
「作戦が成功したと、手放しには喜べぬか……」
「今後も、消えた魔王に関する調査を、継続する他はあるまい?」

 シャロリュークの言葉に、二人の軍司令官が意見を述べる。
けれども、事態を解決するようなモノでは無く、軍議は行き詰っていた。

「でもよ? ……世間じゃ魔王は、お前か雪影のどちらかが『倒したこと』になってるぜ?」
「大方、魔王の城が崩れ落ちるのを見た兵士たちが、流した噂なんでしょうケドね……」
 クーレマンスとリーフレアが、現状を説明する。

「むしろ今は、その方が好都合であろうな。『実は魔王はどこかへ消え失せた』などという事実を伝えて、悪戯に人心を不安にさせる必要もあるまい」
 オレンジ色の鎧に黒いマントを翻した、スレンダーな男が見解を述べた。

「『オフェーリア王国』の天才指揮官、グラーク・ユハネスバーグ様がそう言われるなら、しばらくの間はそれで通すしかね~だろうな」
 シャロリュークは、そう自分を納得させるより他無かった。

「しかしシャロリューク殿。キミが魔王の城で見たと言う『少年』と『少女』についてだが、何か特徴など無かったか?」
 蒼い鎧に銀色のマントを靡かせた、美しい金髪のグラマラスな女将軍が、質問を投げかけた。

「『少年』の方は、オレ達も見たぜ! おかしな剣なんか背負ってやがったがよォ」
 赤毛の英雄に向けられた質問に、クーレマンスがぶっきら棒に答える。

「プリムラーナ・シャトレーゼ様。部屋の中は厚い霧が立ち込めてましたから……でも確か、髪は蒼かった気はします。それ以外は何も……」
 カーデリアが答えた。

「わたしも見ましたが、知らいな方でした」リーフレアも答える。
「オレが見た少女の方も、髪が黒っぽかったくらいしかねえな」
 シャロリュークも、クーレマンスも、リーフレアも、カーデリアも、有力情報は持って無かった。

「……あの、あたし、心当たりある……」
 薄いピンク色の髪の少女が、小さく手を挙げる。
「ええ、本当ですか、リーセシル姉さま!? あの『少年』に心当たりがあるのですね!?」

「……無い!」
 双子の姉の答えに、一同は………………コケた。

「だあああぁぁぁぁッ!! なんですか姉さまッ! どっちなんですかッ!?」
 眼鏡をかけたしっかり者の妹は、ホワホワした姉を問い詰める。

「……えと、『少年』は知らない。でも『剣』は知ってる」
 一同はやっと、リーセシルの『言葉に意味』を理解した。

「みんな、忘れちゃった? この街の武器屋で……ホラァ?」
 覇王パーティーに、記憶を辿るように催促する、リーセシル。

「つまりオレ達全員、あのヘンテコな剣を知ってる……ってんだな? う~ん、言われてみれば、何やら見覚えが無くも……んん?」
 筋肉との比率では僅かな脳ミソで、必死に考えるクーレマンス。

「フッ、クーレマンスよ。思い出したぞ! この街の大通りで店を出していた、露店武器屋の……」
 魔王城攻略には、参加していなかった雪影も、理解した様子だった。

「あっ、あたしも思い出したわ! 確か、シャロの『エクスマ・ベルゼ』より上だとか言って、武器屋の親父が売りつけて来た、変テコな剣だわ!!」
 カーデリアも、過去の出来事を思い出す。

「なる程なあ……」
 シャロリュークは、フッとため息を付いた。

「あの『おかしなパーツを大量に付けたゴテゴテした剣』が、どうして魔王の城にあって、どうして見知らぬガキが背負ってやがったのかは知らねえが……流石は司祭(ビショップ)だな、リーセシル。大した『鑑定眼』だぜ!」

「やったァ~! シャロに誉められたぁ♪」
「わたしも司祭なのに……! まだまだ修行不足ということでしょうか?」

 双子の司祭は、対照的な表情を見せる。

 

次回・ニャ・ヤーゴ会議の行方

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