ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

ある意味勇者の魔王征伐~第3章・6話

f:id:eitihinomoto:20190914042011p:plain

霧の向こうに見えたもの

「いよいよ、魔王の部屋ですな。扉の向こうに魔王のヤツが居ると思うと、武者震いがします!」
「我らとて、強くなっています!」「共に、戦いッましょうぞ!!」
 別動隊の隊長も兵士たちも、城に突入したときから比べ、明らかに精悍な顔になっていた。

「どうだシャロ? この扉の向こうの魔王を、本気で倒せると思うか?」
 筋肉の鎧をまとった男が、赤毛の英雄に質問する。

「さあなクーレマンス。相手を見てみねェと、なんとも言えねェな」
「フッ、それだけ目を輝かせて言われてもな。確かにお前が負ける姿なんざ想像できねェが、相手は魔王だぜ?」

 カーデリアが、クーレマンスの言葉の意味を察した。
「そうね。魔王の部屋には、あたし達だけで突入するわ。別働隊はここで、退路を確保していてもらえるかしら?」

 彼女の言葉の意味も、そこにいた兵士の全員が理解する。
「わかりました。どうか、ご武運を……」
隊長は、短くそれだけを言って一行を送り出した。

 クーレマンスが自慢の筋肉を強張らせ、黒曜石の豪奢な扉を開ける。
内部は白い霧が立ち込めた、見通しの悪い部屋となっていた。
二列に並んだ炎の列が、霧に滲みながら一直線に奥へと伸びている。

「なんだあぁ……やけに視界が悪いじゃねえか? 冥府と暗黒の魔王ってのは、霧でも操る能力なのか。湿気てんなあ」

 軽口をたたきながらも、赤毛の英雄は部屋の奥へと歩を進める。
霧に見え隠れする部屋は、宮殿を思わせる様式美を備えた造りで、不気味さと気高さを両立させた彫刻が、そこかしこにあしらわれていた。

「シャロの『エクスマ・ベルゼ』の炎が、赤から青白い炎に変わってる……本気を出せる相手がいるってだけで、そんなにうれしいのかしら、まったく!」

 炎の温度は、赤毛の英雄の気分の高揚によって、さらに上昇する。カーデリアは、赤毛の幼馴染みの性質に呆れながらも、その背中を追った。

「……おい、アレを見ろ!」
 クーレマンスが指し示した先を見ると、一行とはかなりの距離に『人らしき影』があった。
それは部屋の最深部付近で、通常なら魔王の玉座でも設置されてそうな場所である。

「なんだあ? あの小さいのが魔王ってか? ずいぶんと弱そうじゃねえか?」
 影は霧のカーテン越しでも、巨大には見えなかった。
英雄自慢の炎の剣も、いささか勢いが弱まったようにも思える。 

「魔力も殺気もまるで感じられませんが……」「そ~いうのを一切を消せるのかもね?」
 リーフレアとリーセシルが、コンビネーション台詞で『油断無きように』と訴える。

 けれども赤毛の英雄は、気にせずズカズカと歩いて行って人影との間を詰めた。
「油断するな、シャロ!」「気をつけて!」
クーレマンスとカーデリアの言葉を背中に受けならも、英雄は違和感を感じる。

「……おかしいぜ。まるっきり殺気を感じねェ。いくら隠していても、そういうのは幾分か漏れ出てくるモンだがなあ?」
 シャロリュークは霧の中でも、人影の姿かたちが何とかわかるくらいまで、距離を詰めた。

「アレは……子供? いや、少年くらいか。背中におかしな剣を背負ってやがるが?」

 赤毛の英雄の目に映ったのは、蒼い髪の少年の姿だった。
その背中に、『ゴテゴテとしたパーツの大量に付いた漆黒の剣』を、携えている。

「一体、どういうコトだ。アレが本当に、『冥府の魔王』にして『暗黒の魔王』なのか……!?」
 赤毛の英雄も、この『想定外の状況』をまったく理解できないでいた。

 

次回・腑に落ちぬ幕引き

 ある意味勇者の魔王征伐~第3章・7話 - ラノベブログDA王