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ある意味勇者の魔王征伐~第3章・1話

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ヴァカンベル平原の激闘

 アソセシア大陸の中央部に位置する、ヴァカンベル平原。

 普段は、魔物や野生動物が生息するだけの平原に、激しく舞う砂ぼこり。
ニャ・ヤーゴ地方・小領主の騎士団軍が、魔物の大軍と交戦している。

「こりゃあ、かなりの劣勢だなあ? 予想はしてたがよォ」
 鋼の筋肉を纏った巨漢男が、平野を見下ろせる小高い丘の上から戦況を見ていた。

「そうね、クーレマンス。今回の戦には、『フラーニア共和国』や、『オフェーリア王国』も参加する予定だったけど……いくら何でも到着が遅すぎるわ!」
 パッションピンクの髪の少女が、四つの弦のある弓に矢をつがえながら、巨漢男に話しかける。

「カーデリアの言う通りだぜ! 全く、どこほっつき歩いてんだか?」
 巨漢男も、肉の鎧を強張らせて『巨大な口の付いた剣』を振り回した。
彼らも既に、丘の上の魔物部隊と交戦していたのだ。

「そんなコトも解らないの、クーレマンス?」
「魔物の待伏せに遭ったと、見るべきでしょうね」
 薄いピンク色の髪に、同じ顔をした二人の少女が魔法弾を叩きこむ。

「そんなこたぁわ~ってるよ、リーセシル、リーフレア!」
「だったら何?」「わたし達も魔王城攻略という任務があるんです」
 丘の上の魔物は、魔王の城を死守するエリート部隊だった。

「だがよォ、魔物の大軍を相手に小領主の軍隊だけで、どれだけ持ちこたえられるってんだ! 平野の先には昨日までいた、ニャ・ヤーゴの街だってあるんだぜ?」

「街が心配か?」
 白紫色の髪を後ろで結って長く垂らした優男が、切れ長の目を伏せる。

「当たり前だろうがよォ、雪影。騎士団が全滅したら、街がどうなると思ってんだ?」
「無論、街に魔物の大群が押し寄せるだろうな。いくら篭城したところで、軍隊を失った城に街を護る力は無い。壊滅は免れんだろう。場合によっては、やむ負えん……がな」

 最後の一言が、クーレマンスの筋肉をさらに強張らせた。
「街を見捨てろって言うのか、雪影! いくら小さな街だからって、何万人と人が住んでんだぞ!」
 クーレマンスは魔物と戦っていなければ、優男の胸ぐらに掴みかかる勢いだった。

「どうすんのよ、シャロ!!」
 筋肉の怒りは、カーデリアによって、強引に矛先を変えられる。
「確かにあたし達、このまま魔王城に突入して大丈夫かしら!?」

 口うるさい幼馴染みの問いに、赤毛の英雄は厳しい表情で答えた。
「……残念だがよォ、今は小領主の騎士団を信じるしかねえな、カーデリア」
「そんな……作戦通り、応援の二部隊が来ても苦戦は必至なのに」

 すると、再び白紫色の髪の剣士が口を開いた。
「シャロリュークよ……わたしが騎士団に加勢にいくするとしよう。問題はあるまい?」

 魔物を刃で打ち倒す二人の男は、一切目を合わさない。
赤毛の英雄が答えるまで、一瞬の間があった。

「ああ……任せるぜ、雪影。テメーは別に、オレの部下ってワケじゃねェからな」
 炎を纏った巨大な剣で、次々と魔物を焼き払う、シャロリューク=シュタインベルグ。

「ついでに、そのオッサンの兵士も半分連れて行きな。何度も戦場で部隊を率いて戦ったお前なら、少しは戦力にできるだろう?」

「フッ、ならばそうさせて貰おう」
 白髪の剣士がそう答えると、反対の意見が上がった。

「なッ……何を言っておられるのですか、シャロリューク殿、雪影殿!?」
 英雄の言葉はを遮ったのは、別働部隊の隊長で、『そのオッサン』とは彼のことだった。
「我らが別働隊はただでさえ少人数なのですぞ? その兵士まで、本軍の増援に差し向けたら……」

「心配ねえ。魔王の野郎は、残った覇王パーティーの五人で何とかするぜ」
「そんなッ! いくら覇王パーティーが無双の集団とはいえ、これだけの魔物を相手にどうやって戦うと仰るのです!」

 全身から血の気が引く、別働隊の隊長。
彼は、ニャ・ヤーゴの領主が、覇王パーティーのお目付け役も兼ねて派遣した男で、それなりの軍事経験と知性は備えていた。

「オッサンは、オレらのお目付け役なんだろ?」「そ、そうですが」
「ならよ。足手まといにならないように、しっかり付いて来な!!」
 隊長は反論を試みようと思ったが、赤毛の英雄の覇気がそれを許さなかった。

 「話は済んだか? ならば参る!」
 雪影は別働隊の先頭に立つと、小高い丘から悠然と飛び降る。
そして、腰に挿した二本の剣を抜いて、魔物の大軍に狼の如く襲い掛かった。

 赤毛の英雄の率いる覇王パーティーの五人と、隊長の率いる人数の半減した別働部隊は、崖の上にそびえる魔王の城へと向う。

 けれども直ぐに行く手を、魔物の大群に塞がれてしまう。
「言わんこっちゃない! こんな大群に、これだけの人数でどうしようと言うのですか?」

 焦りを顔中で表現する別働隊の隊長を他所に、巨漢男は全く別のことを口にする。
「雪影の野郎、カッコつけやがって! これじゃオレさまが、とんだまぬけマヌケ野郎けじゃねえか?」

「それはいつものコト!」「確かに何時ものコトです、姉さま!」
「うっせえ、双子娘! ま、こっちはこっちで、カッコつねえとやってられねえな!!」

 クーレマンスは、巨大な顎(アゴ)を持った剣を、大きく振りかざす。
「唸れ、大喰剣・『ヴォルガ・ネルガ』よ。目の前の雑魚共を喰って喰って喰らい尽くせ!!!」

 一行の目の前に立ちはだかった魔物は、剣先が大きく割れて牙が無数に生えた大剣に、体を喰い散らかされて次々に飲み込まれて行く。

「こ……こんな事が!」驚く隊長の目の前に、魔王城までの道が開けた。
「よくやったぜ、クーレマンス! またワラワラと集まってくる前に突っ込むぞ!!」
 シャロリュークの号令と共に、『覇王パーティー』の五人が魔王城へと進撃する。

「ひィ~待って下され~!?」
 別働隊の隊長も、減った部隊を率い慌てて彼らの後を追った。

 

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